新型コロナウイルスは発熱や咳、痛み、呼吸困難などの症状が人の健康を蝕み、時には死に至らしめるが、同時に人が集うコミュニティにも「分断」をもたらし、弱体化させる。緊急事態宣言が出て、会社も学校も休みになり、バーやクラブは営業自粛となり、イベント、趣味の集いも中止になる。リアルのつながりがどんどん失われるなか、オンラインではなく、ぎりぎりな状態にあるリアルを「つなぐ」動きが、小さな場所から生まれている。 マスクに消毒用アルコール持参の重装備で筆者が訪れたのは、東京都国分寺市。この街に深く関わり暮らす農業デザイナーの南部良太さんに会った。 新型コロナウイルスの影響を受けて、2020年3月3日から南部さんたちが始めた活動は、個人宅向けの野菜のセット販売だった。もともと国分寺には野菜を中心に生産を行う農家があり、国分寺市では4年前から地産地消のプロジェクト「こくベジ」が進められている。「こくベジ」と