十六日から国会で審議予定の労働者派遣法改正案で、企業側に違法行為があった場合、派遣先企業に労働者の直接雇用義務を課す新制度について、労働者側から「抜け穴だらけだ」と批判が噴出している。直接雇用といっても契約期間は短期で終わる場合もあり、労働条件も元のままだからだ。派遣労働者の“解雇”が相次いだのを背景に導入される新制度も、労働者側は「違法派遣の根絶にならない」と改善を求めている。 (橋本誠) 「違法に働かされている労働者を救ってほしい。政府案は許されない」。十四日、国会前の歩道。宇都宮市にあるキヤノンの工場で約八年間働いた後、雇い止めにあった阿久津真一さん(42)は通行人に呼びかけた。同じように職を失った約二十人の元派遣労働者も路上から不満の声を上げた。 阿久津さんらが問題にしているのは、改正案に盛り込まれた「直接雇用みなし制度」。現行法でも三年の制限期間を超えて派遣で働かせた場合、派遣先