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ブックマーク / www.ringolab.com (503)

  • ホワイトハウス・フェロー―世界最高峰のリーダーシップ養成プログラムで学んだこと - 情報考学 Passion For The Future

    ・ホワイトハウス・フェロー―世界最高峰のリーダーシップ養成プログラムで学んだこと 「ホワイトハウス・フェロー制度は、アメリカに存在する研修制度のなかで明らかに最良のものだ。世界で最も優れた研修制度と言ってもいいかもしれない。この表現はまったく誇張でない。私たちフェローがどういう経験をするか考えてみてほしい。私たちはアメリカ政府の中枢で一年間過ごす。どこへでも好きな場所に出張し、誰でも好きな人物と会える。週に三日はアメリカの最重要人物たちと事をし、質問したいことはなんでも質問できる。こんな制度は世界のどこにもない。まったくない。」元国務次官補、元ホワイトハウス・フェローのダニエル・サリバンの言葉 とてつもなく厳しい選考試験で選ばれたアメリカの若きエリート十数人が、一年間、政府の最高レベルの中枢で働く機会を得る。彼らは大統領や省庁のトップを補佐しながら、物のリーダーシップを学ぶ。 研修期間

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    RanTairyu 2010/08/13
  • 創世の島 - 情報考学 Passion For The Future

    ・創世の島 やられたー。少々読者を選ぶ気もしますがこれは面白いです。 世にも奇妙な"口頭試問"小説。 2075年、世界は戦争と疫病で壊滅している。世界の片隅にある富豪プラトンがつくった楽園の島には、幸運な生存者たちが集まっていた。彼らは海上にバリアを張り巡らし、武力でよそ者の侵入を拒み、内部には厳格な階級制度を持って秩序ある"共和国"を維持している。滅亡した人類が、再び文明をやり直す、第2の創世の島だ。 あるとき、島の少女アナクシマンドロス、通称アナックスは、島を統治するエリート養成機関"アカデミー"に入学するために、4時間にわたる口頭試問に挑戦する。島の支配階級への登竜門だ。最難関の試験で彼女が選んだテーマは歴史学、島の歴史に大きな影響を与えた人物「アダム・フォード」についての研究だ。アダムフォードは島に漂着した外の世界の少女を助けて、共和国社会にカオスをもたらした事件で知られる。 アナ

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    RanTairyu 2010/08/12
  • グルメの嘘 - 情報考学 Passion For The Future

    ・グルメの嘘 「飲店を取り上げるマスコミに、ジャーナリズム精神は皆無」 超辛口のグルメ業界批判。メッタギリしていて著者が訴えられないか心配。 だが、グルメ記事の読み方がよくわかる。とても勉強になった。 ・店主が毎朝ネタを仕入れに築地に行く鮨屋 ・一人でも多くの人に自分の料理を、といって支店を出すオーナーシェフ ・ワインを出す鮨屋、・ビールを置かないフレンチやイタリアン ・丸ビルや六木ヒルズやミッドタウン等再開発ビルの店 ・大間の鮪を出すというそこらへんの店 にはろくな店がないぞという。なぜダメなのか、素人にはなかなかわからない業界事情の説明がある。「飲店業界にはびこる悪しき慣習や癒着、そして偽りに対してメスを入れていく」激辛モード。 著者いわく、まっとうな評論は儲からない。ヨイショライターを徹底的に叩いている。 著者が特に許せないとするのが料理評論家やジャーナリストと名乗る人たちの

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    RanTairyu 2010/08/06
  • 情報楽園会社 TSUTAYAの創業とディレクTVの失敗から学んだこと - 情報考学 Passion For The Future

    ・情報楽園会社 『情報楽園会社 TSUTAYAの創業とディレクTVの起業』(徳間書店刊・1996年)に加筆して復刊。カルチュア・コンビニエンス・クラブ社長の増田宗昭氏が語るCCC成功の原点。14年前のであるが、現代のネットビジネス文脈でも活かせる知恵が書かれている。 前半のTSUTAYA創業の回想録では、増田社長がドキドキしながら、一店舗目を開業した思い出を語る。当時の小さな店舗の写真や、手書きの企画書が、千里の道も一歩からだったのだなあと思わせる。 当時、自分が何を考えていたかが語られる。増田流はとにかくわかりやすい。たとえばコア事業のレンタルビジネスの説明。 「レンタル業とは、一言でいってしまえば金融業である。八百円で仕入れたCDが、レンタル料金百五十円を生む。このレンタル料金百五十円の実態は、金利に他ならない。なぜならお客さんに貸し出されたCDそのものは、翌日に返却され、また次の人

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    RanTairyu 2010/08/04
  • トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか - 情報考学 Passion For The Future

    ・トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか 「上質さと手軽さ、どちらも秀逸ではない商品やサービスは、「不毛地帯」に追いやられかねない。消費者にどっちつかずの経験しか提供できないのだ。不毛地帯には冷めた空気が充満している。そこそこの質の商品やサービスは誰の心をも揺り動かさず、何となく手に入りやすいというにすぎない。<中略>商品やサービスは、テクノロジーの発展に見合った改善がなされないかぎり、広がりゆく不毛地帯に呑み込まれる運命にあるだろう。」 グローバル化と情報化の進展によってプロダクトのライフサイクルはかつてよりも短くなっている。ヒット商品もほうっておくとすぐに不毛地帯に追いやられて、売れなくなる。クロックスのシューズ、スターバックスのコーヒー、COACHのバッグなどが、大成功して大失敗した事例として挙げられている。こうしたブランドが陳腐化したのと同じように、iPhoneも放っておけば危う

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    RanTairyu 2010/08/03
  • <不良>のための文章術 - 情報考学 Passion For The Future

    ・<不良>のための文章術 カネになる文章の書き方を教えるだ。 <不良>は「天声人語」や小論文テストの良い子ちゃん文章術とは対極にある。 「クルマの運転にたとえてみましょうか。学校で習う文章や『文章読』が教えるのは、教習所で満点をとれるような運転です。法規を守り、自動車のしくみや特性をよく理解して安全に走る。しかし、サーキットやラリーコースでそんな運転をしていたのでは、とてもレースに参加できません。路上では「割り込み」や「幅寄せ」はいけないことですが、レースではそんなことはいっていられません。もちろんスピード違反だって。」 「文章読」系のは大作家が書いたものでさえ「このは名文の書き方を教えるではありません。」なんて逃げ口上が最初に書いてあるものだが、このは逃げない。ちゃんと売れる文章の書き方を教えるぞと書いている。フリーライターとしてプロを目指す人はこちらを読むべきである。 書

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    RanTairyu 2010/07/31
  • 宗教とは何か - 情報考学 Passion For The Future

    ・宗教とは何か 日におけるこのの位置づけはリチャード・ドーキンス『神は妄想である』に対する反論である。 宗教の現代的な価値を擁護する内容。日人にはない問題意識のため、この神学論争は国内の論者ではほとんど見かけない。利己的な遺伝子やミームの提唱者として日でもよく知られるドーキンスだが、今は宗教批判の先鋒に立っているのだ。宗教は迷妄であり愚かだとしてめった切りである。それに対して著者は、科学もまたある種の信仰だと切り返している。 「重要な意味において、科学者は信仰者であると同時に美学者でもあるとわたしは考える。あらゆるコミュニケーションは信頼[=信仰]をふくんでいる。」 信念はあらゆる知の土台になるという論を展開している。アリストテレスやカントや野中郁次郎の、「知識」は信念であるという言葉と同じだ。 「そもそも信仰は───どのような種類であれ───選択の問題ではない。なにかを信じるに

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    RanTairyu 2010/07/30
  • オーディンの鴉 - 情報考学 Passion For The Future

    ・オーディンの鴉 ネットワークセキュリティがテーマのサスペンス小説。 東京地検特捜部が家宅捜索を予定していた朝、疑惑の国会議員が謎のメッセージを残して自殺した。主人公の特捜部検事たちは、ネット上に議員のプライバシーが悪意を持ってばらまかれていたことを知る。それは議員の移動、メール内容、買い物履歴、外出時に盗撮された写真など、異常なほどの詳細さの情報だった。 YouTube、ニコニコ動画、ブログ、検索エンジンなど、インターネットのサービスが実名で出てくるのが面白い。事件の捜査を続けるうちに、闇の勢力は主人公にも脅迫の手紙を送る。エシュロン、カーニヴォーのような巨大監視システムを持つ謎の組織の正体とは何なのか?。検察と犯罪組織の間に、ネットワーク技術を駆使した緊迫した攻防が始まる。 ITの専門家の視点で見れば、技術考証面ではやや甘い面も見られる(おそらく暗号化技術を考慮していないように思える)

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    RanTairyu 2010/07/26
  • アップルvs.グーグル - 情報考学 Passion For The Future

    ・アップルvs.グーグル IT業界の2大イノベーター アップルとグーグルを今、どうとらえたらよいかを明解に教えてくれる新書。著者は小川 浩氏、林 信行氏。両者の歴史のふりかえり、それぞれの戦略と戦術、競合の展望など、今はこの2社の動きからITの主戦場の最新動向が見えてくる。 「2004年にメディアの近未来を描いた『EPIC2014』というフラッシュ・ムービーが話題を呼んだが、その中では、グーグルとアマゾンが合併して、グーグルゾン(Googlezon)となるという未来予測が描かれていた。しかし、僕はその頃から、そうではない、むしろアップルとグーグルの組み合わせこそが新しいインターネットサービスを生む、言うなればグーグルップル(Googlepple)の方が実現する可能性が高いと主張し続けてきた。」と著者のひとりはいう。 確かにこの2社の親和性は親和性が高い。ポジショニングが近いがために競合も生

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    RanTairyu 2010/07/23
  • 日本神判史 盟神深湯・湯起請・鉄火起請 - 情報考学 Passion For The Future

    ・日神判史 盟神深湯・湯起請・鉄火起請 最近読んだ新書で一番面白かった。名著だ。 日書紀に盟神深湯(くかたち)という神判が出てくる。熱湯に手を入れたり、焼けた斧を握らせる神判である。古代史の話は実際に行われたのかわからないが、室町時代には、煮えたぎった熱湯の中に手を入れて火傷の具合で有罪無罪を判定する湯起請があった。そして、江戸時代には真っ赤に焼けた鉄片を握らせて判定する鉄火起請が、現実に行われていた。著者は記録に残っている湯起請87件、鉄火裁判45件の事例を、丁寧に分析して神判の実態を明らかにしていく。 土地の領有権や男女問題など解決が困難な問題がこじれて大ごとになると、湯起請・鉄火起請は行われた。当事者たちは決死の思いで神判に挑んだこと(負けたり逃げたりすると処刑されることもあった)、どんな思いで関係者はそれを見ていたか、事後どういうことになったか、などの顛末が多数語られる。細部が

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    RanTairyu 2010/07/22
  • ブックビジネス2.0 - ウェブ時代の新しい本の生態系 - 情報考学 Passion For The Future

    ・ブックビジネス2.0 - ウェブ時代の新しいの生態系 先日の「電子書籍と出版」に続いて、もう一冊このを共著で書きました。 私が書いた「印税90%が可能なエコシステムを」は昨年のイベント第1回ARGフォーラム 「この先にあるのかたち-我々が描くの未来のビジョンとスキーム」で考えたことを、まとめて書きました。 出版ビジネス再編の議論のきっかけになればと思っています。 どうかよろしくお願いします。 内容: iPadKindleだけが「の未来」ではない。 この先にある「」のかたちをめぐる、俊英たちからの提案集。 【CONTENTS】 はじめに 仲俣暁生 電子書籍で著者と出版社の関係はどう変わるか 津田大介 / ジャーナリスト インターネットユーザー協会代表理事 印税90%が可能なエコシステムを 橋大也/ 起業家 データセクション取締役会長 未来の図書館のためのグランドデザイン 岡

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    RanTairyu 2010/07/20
  • エレンディラ - 情報考学 Passion For The Future

    ・エレンディラ ノーベル賞作家ガルシア・マルケスが書いた"大人のための残酷な童話"6つの短編と表題作の中編を収録。 「大きな翼のある、ひどく年取った男」 「失われた時の海」 「この世でいちばん美しい水死人」 「愛の彼方の変わることなき死」 「幽霊船の最後の航海」 「奇跡の行商人、善人のブラカマン」 「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」 やなぎみわのアート写真がきっかけで、原作を読んでみようと思ったのだけれども、写真家の創作意欲をかき立てた理由がわかった気がした。エレンディラだけでなく、他の6つの作品もイメージ喚起力が衝撃的だった。 特に「大きな翼のある、ひどく年取った男」が強烈。下界に落ちてきた天使が村人たちに監禁虐待されてボロボロにされる悲惨な話。大江健三郎の「飼育」を思いだした。あちらは第二次世界大戦中に日の山中に米軍の飛行機が墜落して、黒人兵が捕まって、村人たち

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    RanTairyu 2010/07/19
  • マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた"ちょっとした発想" - 情報考学 Passion For The Future

    ・マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた"ちょっとした発想" 『ニューヨーカー』の名コラムニスト マルコム・グラッドウェルの傑作コラム集。 TVショッピングの王様ロン・ポピール ケチャップ帝国をつくりあげたヘンリー・ジョン・ハインツ 「ブラックスワン」で著名な投資家ナシーム・タレブ 戦後アメリカでヘアカラーを普及させたシャーリー・ポリコフ ピルを開発して広めたジョン・ロック カリスマ調教師シーザー・ミラン 世界を発想で変えた商売の天才たちのエピソードが5つ。 アメリカっていうのは個人の才覚一つでどこまでも成りあがれる自由の国なのだということがよくわかる。TVショッピングの王様ロンコ社のロン・ポピールなどは典型的だ。自分が開発した商品を、テレビで実演販売して巨額の富を得た。このに取り上げられているのは、こうしたわかりやすいアメリカンド

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    RanTairyu 2010/07/15
  • 「福」に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの習慣 - 情報考学 Passion For The Future

    ・「福」に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの習慣 人生哲学と経営哲学を両方学べる。おすすめ。 会社を辞めて家業の書店をついだ秀三。俺が立て直して見せるという最初の意気込みも現実の困難のまえには勢いを失っている。大型書店の近隣への出店の情報を聞いて、もはやこの店も閉店かと落ち込んでいる。 『商売繁盛!商売の神様、いるのならお願いします。もうギリギリです。何とかしてください!』 秀三の叫びを、彼にとりついている福の神(研修中)は歯がゆい思いで聞いていた。福の神は秀三の成功のためにそれなりに手を尽してやっているのだが、思うように結果が出せていないのだった。 そこへ成功者らしい老人とその老人にとりついている先輩福の神が現れて、成功するための指南を与えていく。人間と福の神とそれぞれの視点で、人間の成長、成功、そして幸福とは何かを学ぶレッスン。 『大切なのは、目の前の一人の人生に興味を持つことだ。愛

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    RanTairyu 2010/07/05
  • 会議の科学―健全な決裁のための社会技術 - 情報考学 Passion For The Future

    ・会議の科学―健全な決裁のための社会技術 会議を科学的にデータ解析して、「決定プロセスの健全性」を確保するには、どのように会議を行えばいいかを研究した。ビジネス書にありがちな"すごい会議"の幻想を打ち砕く。まず実際の会議は多くの場合、生産的なものになっていないことが指摘される。 「ブレインストーミングに限らず、通常、集団で課題遂行を行うときには、一人で同じ課題に取り組むより優れた成果が得られると期待しがちである。しかしそうした期待に反して、今述べたブレインストーミングと同様に、集団で行ったとしても期待される成果に達しないばかりか、個々人の成果を集団人数分集めた方が優れていることを示した研究が多い。」 皆で話し合えばいい考えが出てくるという素朴な信念は多くの場合、ただの幻想にすぎないという。メンバーの相互作用による「プロセスの喪失」は主に次の4つに起因している。 1 評価懸念 否定されるこ

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    RanTairyu 2010/07/02
  • 神話が考える ネットワーク社会 - 情報考学 Passion For The Future

    ・神話が考える ネットワーク社会 いま考えるべきキーワードが散りばめられただ。もう少し咀嚼整理されると読みやすくなると思うのだが、考えるための素材としてはこれくらいの全部入り感があったほうがいいのかもしれない。 正直書き方が難解で私には理解できなかった部分もかなりあるが、現代のネットワーク文化質に迫った議論を展開している、ような気がするである。面白かったな。 著者は文化的な営みをすべて情報処理のプロセスとして見立てる。その上で、神話を「文化における情報処理の様式」ととらえる。ここでいう神話は、レヴィストロースの神話というより、日々生起している現代サブカルチャーやネットカルチャー(ニコニコ動画、2ちゃんねるなど)を指している。神話とはあらゆる"ネタ"だと思う。 1 神話はコミュニケーションを通じて「理解可能性」や「意味」、あるいは「リアリティ」といったものを提供するシステムだというこ

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    RanTairyu 2010/06/29
  • ガラパゴス化する日本 - 情報考学 Passion For The Future

    ・ガラパゴス化する日 「筆者は日の独自性を否定するわけではない。むしろ日の独自性は強みになる。ガラパゴス諸島に多くの観光客が集まるように、希少性は差別化要因になる。書でガラパゴス化という場合には、過度の垂直統合ビジネスによるデメリットや閉鎖性を強調しているのであって、希少性、独自性を否定しているわけではない。ただ狭いガラパゴス諸島の中で独自進化していても仕方がない。世界に向けて、独自進化した種が生き延びていかないといけない。」 欧米のグローバル・スタンダードに合わせないと日は没落してしまうぞという、私が嫌いな単純グローバリズム論ではなくて、日は脱ガラパゴス化してグローバルのゲームのルールづくりに積極的に関わるべきだという内容の。これは結構、納得だった。 米国もガラパゴス化しているが、日と違って人口が増えており、どんどん拡大するガラパゴス諸島として繁栄できる。一方の日は人口

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    RanTairyu 2010/06/25
  • 隔離小屋 - 情報考学 Passion For The Future

    ・隔離小屋 表紙の絵のごとく凄まじい小説。 「ここはかつてアメリカだった。渡し場があるのは横断に十カ月はかかる陸地、海から海まで広がる土地。それはかつて、地上で最も安全な場所だった。」 荒廃して死の地となったアメリカ。人々は海の向こうに脱出するために、ひたすら東の船着き場を目指して歩いていた。『怒りの葡萄』(ジョン・スタインベック)の未来SF版のような世界観だ。飢餓と暴力が蔓延して、生存さえ危い世界で、忌み嫌われる伝染病にかかったマーガレットは隔離小屋にひとり置き去りにされている。苦しい旅の途中で小屋に偶然立ち寄り、彼女と出会った若者フランクリン。数奇な運命の糸によって結びつけられて、2人は終末の世を生き抜いていく。 無政府状態と厳しい自然環境。あらゆるコミュニティが破壊されていく。盗賊につかまって奴隷として売り飛ばされるものもいる。脱出のための船はどこに着くのか。人々はいまや「アメリカ

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    RanTairyu 2010/06/24
  • 天地明察 - 情報考学 Passion For The Future

    ・天地明察 江戸時代。日初の暦をつくることに情熱を燃やした初代幕府天文方で囲碁棋士 渋川春海の生涯を描いた大傑作。天文学、数学、囲碁。計算と証明で「明察」をとることが好きな理論家が、いくつもの挫折を乗り越えながら、正確な暦法の確立という現実世界の難問に挑む。栄光と挫折、友情、ライバルとの戦い、恋、政治的駆け引き、経営やマーケティングの話など、読みどころが無数にあるが、実話ベースの時代小説とは思えないほど完ぺきに構成されている。ノリは軽めの文体で読みやすい。この作品自体が小説として奇跡的「明察」。面白すぎて眠れなかった。 主人公だけでなく、保科正之、水戸光国、関孝和などの歴史上の有名人たちの人物の解釈もなるほどなあと思わせる。ある程度、この時代に予備知識をつけてから読んだ方が深く楽しめるかもしれない。受験生にもおすすめ、といえるか。 著者の冲方丁(うぶかた・とう)はライトノベル作家でゲーム

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    RanTairyu 2010/06/22
  • 水木しげるの遠野物語 - 情報考学 Passion For The Future

    ・水木しげるの遠野物語 2010年は柳田國男の遠野物語100周年。 妖怪が得意の水木しげるが漫画化した全119話。古典をわかりやすく漫画で、というのは、杉浦日向子の『百物語』と似たコンセプトといえる、かな。 オシラサマ、河童、山男、山女、など遠野物語の妖怪・怪異譚が、それぞれ数コマから数ページという短編で次々に語られます。わかりにくい言葉には注釈もついているし、文章で読むよりずっとイメージが膨らみます。原点は古くて難しいですからね。 なにより妖怪=水木しげるの画風が最初に思い浮かんでしまう、ゲゲゲの鬼太郎世代にとっては、水木さんが誰よりも適任者だと思いました。 各話は数コマから数ページと短いのですが、水木調のオドロオドロしさが濃密で、決してあっさりしていません。学習・情報系というより、ちゃんとした味わえる作品系です。水木さん自身が、物語に登場するご愛嬌シーンも何度もあります。 それにしても

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    RanTairyu 2010/06/22