・渡辺京二傑作選4 ドストエフスキイの政治思想 まず私がいつも感じていた弱者の味方とか一部社会運動家の胡散臭さについて 「たとえ百姓であれ労働者であれ、思想が構築される過程の端緒に立つとき、彼は必然的に普遍性へ向けての上昇を強いられるのである。これこそ知識人と民衆との断絶の原因であり、それは民衆に精通したり、民衆の習慣になじんだりすることではこんりんざい解決されえない。ドストエフスキイのいうように、そういうことは旦那の道楽にすぎないのである。」 と書かれていて深く同意。民衆の代表も、弱者の代弁者も、もはや思想を語ってしまった段階で、民衆でも弱者でもない。似非である、と思うわけです。 で、これはドストエフスキイの不評な著作『作家の日記』における民衆賛美調の政治評論を肯定評価する内容です。ドストエススキイの民衆論は、そういう薄っぺらいものではなくて、もっと複雑で意味のあるものだというのです。