内閣が変わる度に、新たな政策が打ち出される。そのこと自体は自然なことだろう。しかし、“成長戦略”なるものが次々に新しく展開され、かつ成果も不明なままに変遷してきたのは残念だ。2012年12月に発足した安倍内閣には、経済復活への大きな期待がかかっている。なかでも、いわゆる3本の矢の一つである成長戦略に、あらためて注目が集まる。筆者自身も、産業競争力会議のメンバーとなったが、ここであらためて成長戦略なるものを考えてみたい。 成長に打ち出の小槌はない どの国でも、またどの時代にも、いかにして経済を発展させ国民の生活を豊かにするかが課題になる。しかし国によって、うまく行く場合といかな場合がある。そして同じ国でも、うまくいく時代とそうでない時代がある。経済をよくするために、特別な秘策、打ち出の小槌は存在しない。敢えて言えば、企業の競争力を高める唯一の方法は、「競争すること」であろう。現実に日本の産業