今回は、日本の『のれん』の会計処理が、経営判断に悪影響を及ぼす可能性についてお話します。 『のれん』は、会計の知識がない人にとっては、なかなか理解しにくいものです。 少し乱暴な表現をすれば、『のれん』は、M&Aによって買収する際に、買収された企業の価値以上の金額で買収した場合に、買収金額から買収された企業の価値を引いた差額です。 これを「超過収益力」などと表現することもあるように、買収した企業は、買収することで従来以上の収益力があげられると期待して、買収される企業の価値以上の金額を出すわけです。 例えば、自社単独で販売網を拡大するよりも、すでにある地域で販売網を築いている企業を買収することで、短期間に販売網の拡大ができるようなケースで、買収される企業の資産価値などよりも高い金額で買収するメリットがあるのです。 日本の会計基準では、『のれん』は、20年以内に毎期定額で償却することが義務付けら