佐藤氏: マーリーズ・レビューは、英国を中心に各国の著名研究者を結集した政策提言です。所得課税から消費課税への転換を求めた初の本格的な提言であるミード報告(1978年)の後継として位置付けられています。グローバル化という新しい経済環境に対して、いかに税体系を最適化すべきかという問題意識が根底にあります。 英国経済はマーリーズ・レビューにおいて「小国開放モデル」と位置付けられています。ただし、これは悲観論ではなく、むしろ世界経済の潮流にどう自国を順応させるかという積極的な視点に基づくものです。なお、所得課税から消費課税への転換が基本的な考え方ですが、法人税や資本所得課税の廃止そのものを求めている訳ではありません。消費課税と同様の経済効果をもたらすような課税ベースへの転換と、課税ベースの拡大を図ることが狙いです。 先述の通り、グローバル化時代にふさわしい税制のあり方というのが、マーリーズ・レビ