食糧危機に見舞われる世界。こうした危機の局面は過去にも日本に訪れ、その都度、日本は危機を乗り越えてきた。その代表例が1973年に米リチャード・ニクソン大統領による大豆禁輸だ。その後、日本は20年にわたってブラジルに農業開発支援を実施し、ブラジルを米国と並ぶ大豆の一大生産地に育て上げた。このいわゆる「セラード開発」に20年間従事し、現在モザンビークで進む「ProSavana(サバンナ計画)」の発案者でもある、国際協力機構(JICA)の本郷豊・客員専門員に危機克服の術を聞いた。 本郷:この「セラード開発」の成果は、世界的に見ても歴史に残る素晴らしい事業だと自負しています。ブラジルでは輸出産品のうち、大豆が鉱物を上回って1位になりました。今年には米国の大干ばつもあって、ブラジルは史上初めて世界一の大豆生産国になりそうです。耕地面積も「セラード」と呼ばれる大地のうち、まだ1割程度で、今後増えていく