脱・白物家電、「BtoB」事業に集中投資の勝算は――。2期連続で計1兆5000億円を超える最終赤字、63年ぶりの無配。パナソニックが置かれた立場は、「瀕死」の状態だ。そこからの復活に津賀社長が懸けたのは、得意の「白物家電」とはまったく異質の分野だった。 住宅の見えないところにもパナソニック パナソニック取締役 吉岡民夫 エコソリューションズ社(ES社)社長。1955年生まれ。77年大阪府立大学経済学部卒業、同年松下電工(現・パナソニック社)入社。2011年パナソニック電工取締役、12年パナソニックES社常務、13年4月同社専務を経て、同年6月から現職。 自動車関連事業と並んでパナソニックが力を注ぐ「住宅関連事業」を担うのが、ES社だ。 今年6月にパナソニックES社社長に就任した吉岡民夫氏は、こう切り出す。 「テレビをはじめとするデジタル事業とは対極にあるのがES社のビジネスモデル。パナソニ
だが、彼らが販売していたマンションはなんと来期分の物件。というのも、今期の販売予定戸数6200戸のうち、すでに約8割が売約済みだからだ(図1)。 しかも未契約の完成在庫は、50戸程度と、極めて低水準となっている(図2)。 「無理をして売り切っていないだけで、実質的に完成在庫はほぼゼロといっていい」(野村不動産)というから驚きだ。 用地買収から竣工まで1年半~2年ほどかかるマンション事業。それだけに好不況の波によって需要は大きく変動する。 だから、マンション価格に「定価」はなく、需要が盛り上がっている時期には値上げするし、閑古鳥が鳴くようなら、売り切るために何割も値下げする場合もある。 とはいえ、当然、デベロッパーは「いかに高く売るか」に力を注ぐ。「あと半年待ったら需要が盛り上がって、高値で売れるはずだ」と営業マンにストップをかけてまで、高値での売却にこだわるデベロッパーもあるほどだ。 しか
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授 楠木 建 1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。日本語の著書に、『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『知識とイノベーション』(共著、東洋経済新報社)、監訳書に『イノベーション5つの原則』(カーティス・R・カールソン他著、ダイヤモンド社) などがある。 私は経営学のなかでも、競争戦略やイノベーションの分野で仕事をしてきた。これまでに何人もの経営者と「戦略」について議論する機会があった。しかし正直な話、そうした場で「これは!」と思える戦略に出合うことはごく稀だった。 何もプレゼンテーション能力が劣っているだとか、必要なデータが漏れているだとか、そうした表面的な問題点から「面白くない」とい
『週刊ダイヤモンド』特別レポート ダイヤモンド編集部による取材レポートと編集部厳選の特別寄稿を掲載。『週刊ダイヤモンド』と連動した様々なテーマで、経済・世相の「いま」を掘り下げていきます。 バックナンバー一覧 “Valuation: Measuring and Managing the Value of Companies”(邦訳『企業価値評価─バリュエーションの理論と実践』、ダイヤモンド社)の初版が米国で出版されたのが1990年。2011年に第5版が出版され、今日まで世界で50万冊以上が発行された。 同書は、世界の企業と経営者に対して、目指すべき経営を示唆し、ビジネスに多大な影響を与えてきた。日本の経営者にも、企業価値の重要性の認識はかなり浸透してきた。しかし、その結果としての変化は、いまだ十分には起きていない。著者のティム・コラー氏(マッキンゼー&カンパニー プリンシパル)に、企業価値
企業には、売り上げ予測が不可欠です。それに基づいて、明日の決定をしていく訳ですから。10月に向けて、新たな売り上げ予測を立てられている組織も多いことでしょう。 でも、「ちょっと待った」です。本当に、その予測の仕方で大丈夫なのですか。予算管理、予測管理、スケジュール管理などに、新しい分析手法があります。誤った決定をしないためにも、是非、精度の高い明日を予測していただきたいものです。 売り上げを予測する 売り上げ予測は、企業活動において必ず行っている作業です。まず、商品ごと、顧客ごとに、この先どのように売り上げていくかを想定し、予測値を設定します。そしてその合計が、企業や組織の総売り上げになるわけです。予測には、傾向や動向を考えながら、ある値を設定しています。半期あるいは四半期ごとにそれを見直していきます。 例えば、このようなやり方です。契約ができる確度を3段階に分けます。確実に受注できるのが
1.チャイナ・プラス・ワンの実像 2000年代中頃、生産拠点が中国に一極集中するのは危険なのでASEAN諸国などに分散投資すべきだという「チャイナ・プラス・ワン」が何かと叫ばれるようになった。背景にあったのは、SARSの流行、人民元の変動相場制移行、反日デモの発生などで中国の事業環境には様々なリスクが存在していることが痛感された時代だった。補完的な生産拠点をベトナムやインドネシアなどにも立地しようという号令は非常に説得力を持って流布された。 日本国内のメディアは「そら見たことか中国」という論調で「中国リスク」(中国の事業環境上の様々なリスク)を騒ぎ立てた。しかし、「中国リスク」の多くはよくよく眺めてみれば実は中国固有のリスクではない。為替相場の変動や労働市場のひっ迫、不動産バブル、自然災害や感染症などは、東南アジア諸国にも普通に存在するリスクである。中国固有のリスクと言えば、貿易大国なので
1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。 2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授(専攻副主任 MBA担当)の他に、早稲田大学ビジネススクール、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。 著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書
デンマークの雑貨ショップ「タイガー」のアジア1号店が7月21日、大阪・アメリカ村にオープンした。報道によると、オープン当日は入場制限が行われるほどの盛況ぶりだったそうで、閉店時間も17時に繰り上げたとのことだ。滑り出しは好調と言っていいだろう。オープンに先立ち7月19日に開催された内覧会に、筆者もお邪魔してみた。 「タイガー」の商品はデザインがスタイリッシュでカラフルだが、価格は100~1000円と非常に安い。一般紙では「グローバルブランド」と報じられることもあるのだが、店舗を展開している国はデンマーク、イギリス、ドイツ、ギリシャ、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スペイン、フィンランド、スウェーデンと、すべてヨーロッパ圏内である。米国には出店していない。店舗数は150店舗。グローバルブランドと言い切るにはちょっと抵抗がある。 こ
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