妻子ある男性社員が女性社員と男女の仲に。本人たちはバレていないつもりだが、まわりは気づいており、苦情の声もあがっている――。 残念ながら、この手の話は、どの会社にも一つや二つ転がっている。不倫は配偶者に対する不法行為であり、社会的に非難されても仕方のない行為だ。倫理的問題を置いておくとしても、まわりの社員は働きづらく、会社にとっては迷惑千万だ。はたして不倫を理由に社員を懲戒解雇することは可能なのか。労務問題に詳しい横張清威弁護士は次のように解説する。 「不倫であろうとなかろうと、恋愛は原則的に私生活上の行為であり、会社の業務と直接の関係がありません。不倫によって職場に気まずい空気が漂っていたとしても、それだけで懲戒処分を下すのは無理。企業秩序が乱れ、企業運営に具体的な支障があった場合に限って、不倫は懲戒の理由になるという判例があります(繁機工設事件・旭川地裁、1989年12月27日)」 し