米国はこのところ、悲観の泥沼にはまり込んでいる。その雰囲気は、米国について書かれた数々の本の書名を見れば分かる。『かつての超大国アメリカ――どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか』(トーマス・フリードマン、マイケル・マンデルバウム)、『考え始めるべき時――凋落時代の米国』(エドワード・ルース)といった書名だ。 米国では、自分の子供の暮らしが、現在の自分たちの暮らしよりも悪くなるだろうと考える人が、数十年ぶりに多数派を占めるようになった。いまや、「米国人は何でもできる」という楽観主義の熱は冷めた。代わりに、「何もできるはずがない」という欧州的な消極主義に落ち込んでも不思議ではない。 この変化には十分な理由がある。別の、やはり悲観的な本の言葉を借りるなら、政治システムは、「見かけ以上に悪い」状況にある。中間層の生活水準は伸び悩んでいる。イラク戦争は大失敗に終わった。 ミッチェル氏が体現す