(ブルームバーグ):労働市場はここ23年で最も需給が逼迫(ひっぱく)しており、一部の大手企業は利益を拡大している。となれば賃上げや消費拡大への道筋が見えてきそうな気配だが、日本の現状は違っている。労働市場でこうした変化が主に見られるのは、低賃金のパートタイム職や不安定な非正規労働分野だからだ。 8月の日本の有効求人倍率は1.23倍となり、表面的には賃金が上昇に向かう朗報のように見える。求人件数が求職者を上回る状況では、企業は欠員を埋めるために賃金を上げ、労働者は消費を増せるはずだ。 しかし、問題はこの数字の下に隠れている。正社員でみた有効求人倍率は0.76倍にとどまっている。 政府統計によると、日本の労働者の10人に約4人は現在、非正社員だ。 非正規雇用から正社員になるハードルは依然として高く、非正規の仕事を続けざるを得ない労働者が多いと、野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは分析