冷戦時代の発想から脱却せよ 日米欧の先進主要7カ国で構成されるG7による国際協調路線は、多極化した世界ではもはや機能しない。かといって新興国を加えたG20では利害や価値観の相違が複雑に絡み合って、国際的な課題をコントロールできない。アメリカと中国の2大国によるG2にしても、かつての冷戦構造のような秩序を生み出す枠組みになっているわけではない。 そうした時代状況について、アメリカの国際政治学者で、コンサルティング会社ユーラシアグループ代表のイアン・ブレマー氏は、世界は主導国の存在しない「Gゼロ」の時代に突入したと指摘する。いかなる国も国家ブロックも、世界を主導するリーダーシップを発揮できず、求心力になりえない。グループならぬ、浮遊するグラビティ(重力)ゼロの時代――。Gゼロ時代の混迷を象徴しているのが、ウクライナ情勢だろう。 ウクライナから独立してロシアに編入されたクリミアに続き、ウクライナ