主要な多国籍企業では、海外に多くの拠点を持ち、国内の活動規模を超える生産・販売活動が海外で行われていることが多い。このため、親会社だけでなく、海外のグループ企業も含めたグローバルなパフォーマンスを評価しなければ、真の企業パフォーマンスを測定することは難しい。このような問題意識のもと、本稿では、「企業活動基本調査」と「海外事業活動基本調査」の個票データを親会社レベルで接続したデータを利用して、日本の製造業の多国籍企業について、親会社と海外現地法人の生産性の比較分析を行った。 産業別の産出と投入に関する購買力平価(PPP)を利用し、日本の親会社と主要国の現地法人との付加価値労働生産性水準を比較した。その結果、製造業平均でみると、在米国、在台湾現地法人では2000年代初頭にすでに日本の親会社を上回る生産性を達成しており、在韓国現地法人も2008年時点には日本の親会社の生産性水準に到達していた。在