前回に引き続いて、ドイツのスマートグリッド実証事業である「E-Energy」の6事業の1つ、「イーテリジェンス事業」について解説する。 日本では今、これまでの系統に加えて分散型のエネルギーシステムを構築すべきとされている。しかし、その事業モデルや運営主体については、明快なイメージが提示されていない。E-Energyにはそのヒントがある。今回はそこに焦点を当てる。 離れた施設が1つの主体として市場取引に参加 ドイツ北部の沿岸都市クックスハーフェンで展開されるイーテリジェンス事業は、550軒の家庭を対象とする電力消費量の「見える化」や、料金設定によって需要のシフトや削減を促す料金「ダイナミックプライシング」を試している。しかし、それよりも実証すべき重要なテーマがある。本命は地域の発電や電力需要を地域内で調整するシステムの構築である。効率的な調整を実現するために、価格メカニズムを使う。そして取引