法人課税の現状と課題 ― 安倍政権下の法人税減税 ― 財政金融委員会調査室 伊田 賢司 はじめに 平成 24 年 12 月 26 日に発足した第二次安倍内閣では、 デフレからの早期脱却・経済再生 を掲げる一方で、社会保障の安定財源の確保と財政健全化を同時達成するための消費税率 引上げを判断するという極めて重い責任を負うこととなった。このような困難な経済財政 運営が迫られる中、平成 25 年 10 月1日、安倍総理は、 「経済の再生と財政健全化、この2 つを同時に達成するほかに、私たちには道はない」1 として、消費税率の8%への引上げを 予定どおり実施するとともに、民間投資を喚起する成長戦略の実現に向けた取組を強力に 推進するための「経済政策パッケージ」を決定した。この中には、成長力強化のための投 資減税措置の創設や企業収益を従業員に還元するための所得拡大促進税制の拡充等による 1兆円規模の