スイスの新聞数紙を統合するメディアグループ「タメディア」の本社に入ると、大きな木の柱数本が出迎えてくれ、その堂々とした存在感と優雅さに圧倒される。 入って左手には「中間スペース」と呼ばれる、階段とラウンジの空間がある。ここにも大きな木の柱が密集して並び、まるでどこかの寺院の回廊を思わせる。 スタッフにとっての快適な空間、持続性、低建設費。この三つの条件をタメディアの社長から与えられた。「それには木が適していると考えた。また、これほどスムーズに建設が進んだ例は初めて。それは施工主と意気投合し、スイスの木造エンジニア、ヘルマン・ブルーマーさんと出会えたからだ」と坂さんは話す。 坂さんの初期の仕事の一つに、紙菅(紙でできた管)が使用された「アウヴァ・アアルトの家具展」がある。「わずか数週間の展覧会のために、建築家アアルトのように木をふんだんに使うのはもったいない。たまたま捨てずにとっておいた紙菅
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