農林水産省が「食料自給率を向上させるべき」とする根拠は、21世紀に世界が食糧危機に見舞われることを前提としている。海外に食料を依存していると、いざという時に輸入ができなくなるということだ。 世界が21世紀に食糧危機に陥るとする説は、「世界人口の急増」「農地の拡大の限界」「水資源の制約」「化学肥料を用いた農業の持続可能性への疑問」「緑の革命の終焉」「開発途上国における飼料需要の急増」などを理由に、識者により繰り返し説かれている。 マスコミが危機説を好むためか、この種の話は新聞や雑誌に掲載されることが多い。食料価格が高騰した折などは、テレビの報道番組でも取り上げられている。そのために、多くの国民は食糧危機が本当に起こると信じるようになってしまった。 だが、世界食糧危機説は、本当に信じるに足る説なのであろうか。 飛躍的に増えた収穫量、立役者は化学肥料 紙面が限られていることから、原因とされる個々