「時代と無意識」+UTCP短期教育プログラム「歴史哲学の起源」の合同演習として、2008年12月10日、東北学院大学から石川文康教授をお迎えして、講演会「カントの歴史哲学――理念の歴史性をめぐって」を開催した。 まず石川先生は、カントの数々の著作に散見される歴史哲学的な洞察を一瞥しながら、カント哲学において時間と永遠の対立が、とりもなおさず感性と理性との対立にほかならないことを指摘した。もちろん、理性、ないし超時間的なものと、感性、ないし時間的なものは『純粋理性批判』においては、カテゴリーの時間化(図式化)において交わる。この意味で純粋知性概念(カテゴリー)は、客観的妥当性(実在性 realitas objectiva)を持つのである。 では、理性概念としての理念はどうなるのだろうか。石川先生は、理性は完全に時間を越えており、時間化されないと述べる。理念はカテゴリーのように客観的妥当性、実
「時代と無意識」+UTCP短期教育プログラム「歴史哲学の起源」の合同演習として、12月3日、大竹弘二の発表「政治神学的敵対の終焉をめぐって――カール・シュミットとハンス・ブルーメンベルク」が行われた。 大竹の発表は、『近代の正統性』の第一版(1966)の出版をきっかけに生じたシュミットとブルーメンベルクの論争を主題にし、ブルーメンベルクの錯綜した議論を慎重に解きほぐしながら、両者の論争の争点を明らかにするものだった。 大竹はまずシュミットの政治思想を普遍主義批判という観点から導入しながら、『政治神学 II』(1970)出版の経緯を、第二次世界大戦後の政治と神学の状況をシュミットがいかに解釈していたのかを背景にして説明した。シュミットの根本的立場は戦前と変わりなく、一貫して普遍主義的な進歩主義への批判であった。そのときとりわけ批判の対象となるのが、人類が次第に理想へと近づくとする進歩の歴史哲
イケメン×2.5―境界、まなざし、在/不在 『ユリイカ』2014年9月臨時増刊号『総特集イケメン・スタディーズ』、同2015年4月臨時増刊号『総特集2.5次元―2次元から立ちあがる新たなエンターテインメント』の2冊を通して見えてくるのは、メディウムとしての「イケメン」を介してキャラクターを立ち上がらせる「2.5次元」という場の独特なありようである。 その顕著な様式性・類型性ゆえにキャラクターの器としての役割を果たす「イケメン」と、それをキャラクター「として見る」というコミットメントを持った我々のまなざしが出会うところに「2.5次元」の場はつかの間成立する。舞台の上と「こちら側」とは厳然と分かたれ、にもかかわらず(あるいはそれゆえに)我々の視線の先には彼らが確かにそこにいるものとして現れる。そのようにまなざすことで初めて出会われる存在があり、きわめて一回性の高い出会いというものがある。あくま
2010年6月4日、パリ第4=ソルボンヌ大学教授ジャクリーヌ・リシュテンシュテイン氏による講演が行われた。今回はソルボンヌと日本の諸高等教育機関との協力関係樹立という公務を帯びて来日された由で、多忙なスケジュールの合間を縫っての(しかし充実した)レクチャーとなった。 【ジャクリーヌ・リシュテンシュタイン教授】 リシュテンシュテイン教授はとりわけ古典主義期(17世紀)フランスの芸術理論の緻密かつ大胆な読解で知られるが、今回の講演では視野を拡げ、美学の歴史を辿りなおされた。中心となる地域はドイツとフランスである。 今日美学は哲学の一部門として確固たる地位を占めている。しかしそこに至る道のりは決して平坦なものではなかった。周知のとおり、近代的ディシプリン(学問領域)としての美学 esthétique, Ästhetik は、ライプニッツ=ヴォルフ派の哲学者バウムガルテンの著書 Aesthetic
第1回「障害の哲学」国際会議:障害学と当事者研究――当事者研究の国際化に向けて 講演/ラウンド・テーブルなどを2日にわたり開催いたします。 *30日は英語、31日は日本語が主要言語になります。 日時:2013年3月30日(土)・3月31日(日) 会場:東京大学駒場Iキャンパス(京王井の頭線・駒場東大前駅下車) 30日:18号館4階コラボレーションルーム3 31日:18号館1階ホール 主催:東京大学大学院総合文化研究科/教養学部付属共生のための国際哲学研究センター(UTCP)・上廣共生哲学寄付研究部門「共生のための障害の哲学」プロジェクト(UTCP/PhDC) 共催:文部科学省科学研究費補助金・新学術領域「構成論的発達科学:胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解」C01当事者研究による発達障害原理の内部観測理論構築とその治療的意義 March 30 Tom Shakespe
UTCP「共生のための障害の哲学」第5回研究会 「発達障害の診断・概念と社会的状況」 講演者:東島 仁(日本学術振興会 特別研究員 PD/大阪大学大学院 文学研究科) タイトル:診断をめぐる期待と危惧:自閉症スペクトラム障害を持つ子どもの親の意見から 【要旨】 脳や遺伝子をめぐる研究の著しい発展のなか、自閉症スペクトラム障害の診断に関わる研究への注目も高まりを見せている。本発表では、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもの母親が、1.出生直後、2.出生前のそれぞれの時点での自閉症スペクトラム障害の診断の実現に対してどのような期待や危惧を抱いているのか、また診断後に行われるであろう‘治療’について、どのような印象を抱いているのかをインタビュー結果をもとに示す。そして、自閉症スペクトラム障害の診断のあり方や、そのような診断が出現した際に望まれるであろう支援のあり方について考えたい。紹介するのは、自
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