土方歳三の肖像写真(佐藤彦五郎新選組資料館所蔵)戊辰(ぼしん)戦争最後の戦いで銃弾に倒れたとされる新選組の土方歳三(ひじかたとしぞう)(1835~69年)が、生き延びてロシアで生涯を終えていた-。そんな〝伝説〟を基にした映画「歳三の刀」が制作され、今秋に全国の劇場で公開される。「鬼の副長」と呼ばれ、幕末に新選組の屋台骨を支えた土方。近藤勇(いさみ)や沖田総司らと時代を駆け抜けた生涯から根強い人気を誇る。新選組発足から160年となった今年、新たな土方像が浮かび上がる。 「これが歳三の刀か」。日本人俳優と刀を交わすロシア人俳優がカメラの前でせりふを発する。舞台は明治維新後のロシア極東・ウラジオストク。映画は戊辰戦争で亡くなったはずの土方が、混乱に紛れてロシアに亡命したという設定だ。 ロシアのほか、土方が生まれた東京都日野市などでロケをした監督の増山麗奈さん(46)は「激動の時代に海を渡り世界へ