北海道の南端、青森県に近い渡島半島に知内(しりうち)町がある。アイヌ語の「チリ・オチ」(鳥・居るところ)から名付けられた土地だ。江戸時代、松前藩の主要財源だった鷹(たか)の産地として有名で、昔から自然豊かな地域だったとして知られている。 そんな知内町に、温泉好きの知る人ぞ知る宿として「知内温泉」がある。「大野土佐日記」によれば元久2(1205)年、砂金を求める荒木大学の渡来にさかのぼり、宝治元(1247)年に薬師堂を建立したのが由来とある。つまり開湯以来約800年‼ 歴史をさかのぼれば鎌倉時代にたどり着く、「北海道最古」と名高い温泉だ。 敷地内には異なる泉質をもつ5本もの源泉が自噴して、かけ流し。さまざまな効能があると評判を呼ぶ温泉は、毎日地元の常連客や温泉好きがはるばる遠方からつかりに訪れる、まさに温泉だけでも日本トップレベルの宿だ。