今回の舞台は、函館市民の台所「中島廉売」。私が初めて足を運んだのは、昨年11月末。通りを歩く客の数こそまばらだったが、店先は明るい話し声であふれていた。大型スーパーやコンビニエンスストア、ネット通販などで何でも手軽に手に入る時代に、客は何を求めて訪れるのだろう。90年以上市民から愛されてきた、老舗商店街のいまを見つめた。 (NHK函館ディレクター 佐藤楽) ―愛され続けて90年 中島廉売に通う訳とは― 函館駅から市電と徒歩で15分程の場所。寿司店やカレー店などの飲食店や理容室など、新旧様々な店が立ち並ぶ「本通り」。鮮魚店が中心に軒を連ねる「魚通り」。青果店や鮮魚店などが並ぶ「仲通り」。3つの通りからなる商店街を総称し、中島廉売という。 昭和9年の函館大火で、比較的被害が少なかった現在の中島町に人々が移り住み、露店で商売を始めた
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