マイク・ホンダ議員の「慰安婦非難決議案」のとき、産経新聞などがしきりに流したのが、中国ロビーの献金や選挙区事情(中国・韓国系のほうが日系よりはるかに多い)などの政治的背景だが、そういう打算だけで何回否決されても同じような決議案を出すとは考えにくい。ホンダ自身のいう「かつて私が強制収容所に入れられたことに対して米政府が謝罪したように、日本も謝罪すべきだ」という素朴な正義感があるのは、たぶん本当だろう。だとすれば、その正義感の背景にあるのは何か――という問題をさぐったのが本書である。 著者は「元ロサンゼルス特派員」という奇妙な肩書きになっているが、NHKの職員である。NHKの名前が出ると、慰安婦がらみの訴訟の問題で経営陣が神経質になるので、伏せたらしい。同じ配慮で、慰安婦についてもくわしくはふれていない。テーマは、ホンダの行動に日本人の多くが感じた「日系人がなぜ日本を非難するのか」という疑問