きぼうの送風口を持つ深田政宏さん。開発の難しさに「あかんかったら、ケツまくって逃げようと思っていた」=川西市(撮影・三津山朋彦) 実験設備のそばで、男性が寝袋で休んでいる。場所は、地上400キロメートル。国際宇宙ステーション(ISS)にある日本初の有人実験施設「きぼう」の中だ。男性は宇宙飛行士、若田光一。空調設備を開発した川西航空機器工業(川西市)社長、深田政宏(71)は、その光景に胸が熱くなった。 ISSでは、高圧で新鮮な空気を施設内に供給する送風口の騒音が、飛行士のストレス源となっていた。深田は送風口に縦横に羽根を取り付け、羽根の角度を調節することで騒音の源である空気の振動を消し、「茶室にいる静けさ」を実現した。 「若田さんは、きぼうでないと眠れないと言っている。他国の飛行士もきぼうで寝たがっている」。評判を聞いて深田は、誇らしげだ。「世界最先端の技術が集まるISSで、きぼうが最高の環