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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (167)

  • 自国産ワクチン「効果高くない」 中国・保健当局トップはなぜそんなことを言った?

    中国政府はシノファームのワクチンを積極的に国外に送り出しているが、この発言からは隠し切れない問題が見えてくる> 中国は新型コロナウイルスの国産ワクチンを諸外国にばらまく「ワクチン外交」を展開しているが、中国製ワクチンの有効性に疑問を呈する声は少なくない。そしてどうやら、中国政府も国産ワクチンの問題に気付いているらしい。 4月10日の国内の会議で、中国疾病対策予防センターを率いる高福主任が、「現行ワクチンの防御率は高くない」と認める発言をしたのだ。 中国の政府関係者が公の場で自国の産品の品質に問題があるのを認めるのは異例だ。このとき高は、有効率の低さに対処するため、異なるワクチンを併用して接種することを公式に検討しており、接種間隔や接種回数の調整なども選択肢の1つだと述べた。 中国政府はこれまで、mRNAを用いた最先端のアメリカ製ワクチン(ファイザーとモデルナの製品)の信頼性に疑問を投げ掛

    自国産ワクチン「効果高くない」 中国・保健当局トップはなぜそんなことを言った?
  • 池江選手に五輪辞退をお願いするのは酷くない

    東京五輪水泳会場の披露式典に参加した池江選手(2020年10月24日、東京都江東区) Issei Kato-REUTERS <アスリートと一般市民の利害は今や根的に対立している。そうさせたのは、コロナ無策のまま五輪を強行しようとする政権の姿勢だ> 5月7日、オリンピック水泳日本代表の池江璃花子選手がTwitterを更新し、選手選考会以後、オリンピック辞退や反対の表明を求めるコメントがSNSなどに寄せられ、中には心ない内容のものもあったとして、「私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません」「この暗い世の中をいち早く変えたい、そんな気持ちは皆さんと同じように強く持っています。ですが、それを選手個人に当てるのはとても苦しいです」「頑張っている選手をどんな状況になっても暖かく見守っていてほしいなと思います」と綴った。 このツイートは直ちに各社のニュース記事になり、池江選手には同情の声

    池江選手に五輪辞退をお願いするのは酷くない
  • 横溝正史、江戸川乱歩...... 日本の本格推理小説、英米で静かなブーム

    <日格ミステリが海を越えて出版され、緻密なトリックと構成が話題を呼んでいる> 絶海の孤島に招かれたメンバーが、夜ごと凶刃に消えてゆく。現場の個室は内側から施錠されており、犯行はいかなる者にも不可能。しかし、室内の不自然な状況と被害者が残した不可解なメッセージに、狡猾な真犯人を暴く手がかりが隠れており......。 こんな謎めいた状況で夢中にさせてくれる日格推理小説が、海外で静かなブームを生んでいる。とくにイギリスではこのところ、旧書を翻訳して再刊行する流れが活発化しており、日の名作ミステリもこの動きにうまく乗ったようだ。驚きとドラマ性を重視する近年の海外ミステリとはまた違った趣きが受けているのだという。 その一つが、1947年刊行の横溝正史作品、『陣殺人事件』だ。宿場町で代々要人を迎えてきた歴史ある陣に、琴の音色とともに異様な悲鳴が響く。離れで発見されたのは、新郎新婦の無

    横溝正史、江戸川乱歩...... 日本の本格推理小説、英米で静かなブーム
  • 「バイデンが井戸に毒を入れた」は、なぜ差別扇動投稿なのか

    <10年前の3.11を思い出させる強い地震が東北地方を襲ったとき、混乱と不安に乗じてマイノリティーに対する暴力を扇動するデマツイートが拡散された> 2月13日深夜、福島県沖で最大震度6強を観測する地震が発生した。幸い津波の被害こそ発生しなかったものの、各地で家屋倒壊や土砂崩れなどの被害を出し、余震も含め予断を許さない状況が続いている。 SNSで流された差別扇動デマ この地震の発生後、SNSでは、外国人が災害に乗じて犯罪行為を行うことを示唆する排外主義的デマが流された。中でも深刻なのは、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」という、1923年関東大震災での流言飛語を連想させるデマだ。関東大震災ではこのデマに基づき、朝鮮人に対するジェノサイドが発生した。2019年に公開された映画『金子文子と朴烈』は、まさにこの事件を扱っている。 現代でも、災害時の混乱状況においては、一つの怪情報が多大なる悲劇をもたらす

    「バイデンが井戸に毒を入れた」は、なぜ差別扇動投稿なのか
  • アメリカの新型コロナ死亡者の40%は「トランプのせい」と報告書

    40% of U.S. COVID Deaths Could Have Been Averted If It Weren't for Trump <歴史ある医学誌ランセットに発表された報告書がトランプ政権のコロナ対策を厳しく糾弾> 2020年に新型コロナウイルスで死亡したアメリカ人のうち約40%は、ドナルド・トランプが大統領でなければ死を免れていただろう――医学誌に新たに発表された報告書が、そう指摘した。 2月11日発行の医学誌ランセット(世界で最も歴史があり知名度も高い医学誌)に発表されたこの報告書は、パンデミックが起きる前の2018年で見ても、ほかのG7諸国(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日、イギリス)の人口あたりの死亡率と比較すると、アメリカでは46万1000件の回避できるはずの死亡例が発生していたと指摘。アメリカの新型コロナの死亡率がこれらの国々と同程度だったと想定した場合

    アメリカの新型コロナ死亡者の40%は「トランプのせい」と報告書
  • 【2021年の重要課題】日本の右派ポピュリストが進める改憲論議に乗ってはいけない

    <国民民主党の山尾志緒里が「論座」への寄稿で「改憲ありき」の姿勢を打ち出し、政治系アカウントで話題になった。改憲は必要ない、というこれまでの野党の立場から一歩踏み出した形だからだ> 12月21日、国民民主党の山尾志緒里衆院議員が、『国民民主党「憲法改正への論点整理」に込めた願いは愚民思想からの卒業』という論考を『Web論座』に投稿した。山尾議員は民進党分裂後、当初は立憲民主党に所属していたが、国民民主党に移籍して以降、持論の憲法改正論をより激しく主張するようになっていた。 現在の国民民主党は、旧国民民主党のうち立憲民主党に合流しなかった議員によって構成されており、中道から中道左派路線をとる立憲民主党に対して党の独自性を強調するためなのか、右派ポピュリズム路線へと傾斜し始めている。 主要野党はこれまで、立憲主義を無視した政権のもとでは憲法改正の議論はできないという方向性で一致していた。山尾議

    【2021年の重要課題】日本の右派ポピュリストが進める改憲論議に乗ってはいけない
  • 韓国、「正義」のユーチューバーらが暴走 児童性犯罪者の出所トラブルで周辺住民は恐怖の日々

    <凶悪な犯罪者が帰ってくる。だが実際に起きたのはそれだけではなかった──> スマートフォンというツールによって、1人1メディア時代と言われるようになり、誰もが世界に向けて発信できるようになった。以前は、事故現場からの生中継などプロのTVクルーにしかできなかったが、今は誰でも決定的瞬間をスマホで撮影可能だ。 手軽にできるようになりよい面もある一方、そのたやすさに乗っかりエスカレートしてしまうと、一気に暴走をすることもある。しかも、それが「悪人を罰する」と正義を振りかざしている場合、果たしてそれは当の正義なのか、一度立ち止まって考え直す必要がある。 今月12日、韓国ソウル近郊のアンサン市ではそんな人々が大勢押し寄せ騒動となった。ことの発端は、チョ・ドゥスンという一人の犯罪者の出所だった。 凶悪犯罪でも心神耗弱として減刑 チョ・ドゥスンは、2008年12月11日京畿道アンサン市にて、当時小学校

    韓国、「正義」のユーチューバーらが暴走 児童性犯罪者の出所トラブルで周辺住民は恐怖の日々
  • メルケル演説が示した知性と「ガースー」の知性の欠如

    「ガースーです」と同じ日、メルケルは国民に厳しい感染対策が必要な理由を情熱的に説いた(12月9日、ベルリンの連邦議会で) Hannibal Hanschke-REUTERS <新型コロナ危機のなか珍しく情に訴えたメルケルは、ウイルスというファクトから目を背けることはできないと言い、菅は「こんにちは、ガースーです」と言った> ドイツのメルケル首相の演説が世界的に話題を呼んでいる。同国のコロナ死者数が過去最多の1日590人に上った12月9日。連邦議会において行われた演説で、首相はいつになく感情を剥き出しにして、クリスマスシーズンにおける市民の自粛を訴えた。例年のようなクリスマスを楽しめないことは「当に心から残念なことではあるが」と首相は述べる。「1日590人の死は受け入れることができないというのが私の見解だ」。情熱的なスピーチは得意ではないとみられていたメルケルが、突如身振り手振りまで込めて

    メルケル演説が示した知性と「ガースー」の知性の欠如
  • 特集:科学後退国 ニッポン

    僕ら映画人が声を上げた理由 日社会 「赤狩り」の歴史を思えば日学術会議の問題は人ごとでない 永遠のギター少年よ、さらば 追悼 65歳で死去したエディ・ヴァン・ヘイレンの多大過ぎる功績 【Periscope】 SOUTH KOREA 韓国の集会禁止はコロナ対策? NEW ZEALAND 第2波乗り越えアーダーンは再選へ AZERBAIJAN ナゴルノカラバフの憎悪の応酬は終わるか GO FIGURE ウイグル人弾圧めぐり国連で再び攻防戦 【Commentary】 視点 日学術会議vs国家──相克の歴史──河東哲夫 分析 トランプ感染と米国民の病理──グレン・カール ノーベル賞 トランプに平和賞はあり得ない──ジョゼ・ラモス・ホルタ 風刺画で読み解く「超大国」の現実 特権社会ではポルノも特権──ラージャオ&トウガラシ 経済ニュース超解説 ドコモTOBの当の狙いとは── 加谷珪一 人生

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  • トランプはもう負けている?共和党大会

    出たがりのトランプは、党大会期間中は連日演説を行う予定だという David T. Foster/REUTERS <初日から慣例破りの即興演説を行ったトランプは自らの支持基盤の共感を得るための根拠のない主張を次々展開> 4年以上にわたってアメリカのあらゆる伝統や規範を破壊してきたドナルド・トランプ米大統領が8月24日、またやってくれた。トランプは同日開幕した共和党の全国大会で正式に大統領候補に再指名された直後、予告なしに党大会の会場に表れ、対立候補である民主党のジョー・バイデン前副大統領が11月3日の大統領選で公正に勝つことなどあり得ないと断言した。 「彼らが私たちから今回の選挙を奪うことができるとすれば、それは不正選挙しかない」。トランプはノースカロライナ州シャーロットの会場に集まった、少人数ながらも熱狂的な支持者たちを前にこう主張した。 トランプはこの数週間、似たような主張を展開してアメ

    トランプはもう負けている?共和党大会
  • 台湾人だけが知る、志村けんが台湾に愛された深い理由

    <コロナウイルスに倒れた志村けん。その死に台湾人が打ちのめされたのは、志村が彼らにとって、民主化を迎える夜明け前の時代を共に過ごした「心の友」だったからだ> 志村けんは、なぜこうも台湾人に愛されるのか。 国共内戦後、中国から台湾に逃れてきた中華民国政権は日に「以徳報怨」というスローガンを掲げた。一方、少数派であった与党・国民党は多数派の元日国民であった台湾人に「われわれは対日戦争に勝って台湾人を二等国民の扱いから解放した」と主張することで、自分たちの高圧的統治を正当化した。そのため、日との貿易などの「実務」を継続しながら、日の文学、映画テレビ番組などはあまり推奨しなかった――元々台湾人たちのみに共有されたこれらの事象は、台湾人アイデンティティを喚起してしまう恐れがあったからだ。 1972年の日中国交正常化に伴い、台湾は直ちに日に国交断絶を宣言した。中華民国から見れば、中国との国

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  • 極悪ネット性犯罪「n番部屋」は韓国の女性蔑視文化の産物

    <未成年者を含む70人以上の女性が被害に遭った違法ポルノ事件韓国社会が変わらない限り再び起きる可能性がある、と専門家は指摘> 韓国ではこれまでに、通信アプリのテレグラム上で「n番部屋」と呼ばれる違法ポルノ会員サービスを運営していた容疑者約20人が逮捕された。彼らは未成年者を含む70人以上の女性を脅迫。わいせつな動画を作成し、フォロワー(有料会員)に販売していたという。 特に主犯格のチョ・ジュビン、通称「博士」は26万人以上のフォロワーに多数の違法ポルノ動画を配布していたとみられる。彼らはさまざまな手段で入手した個人情報を使い、被害者を脅迫していた。被害者の体に「奴隷」の文字を彫らせたり、チョの「所有物」であることを示すポーズを強要したりすることもあったという。 被害者の一部に未成年者が含まれているため、チョらの容疑者は重い刑を科される公算が大きい。フォロワーたちも罪に問われる可能性がある

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  • オート三輪トゥクトゥクがつなぐ新旧「アラブの春」

    <イラクの反政府デモで大活躍するオート三輪トゥクトゥクは、エジプトでも「アラブの春」を支えていた> イラクでの反政府抗議デモは、発生から二カ月半を経て、いまだに沈静化の目途がたっていない。12月1日にはアーディル・アブドゥルマフディ首相が辞意を表明したものの、焼け石に水だ。 それどころか、デモ隊と政府治安部隊の衝突はますます激化している。タハリール広場とその脇のトルコ料理店に座り込みを続けるデモ隊に対して、政府の治安部隊は橋向こうから日々攻撃を続けるが、そこで使用される砲弾には缶ジュース並の大きさのものが使用されることもあり、頭を直撃されて死亡したデモ隊員の頭蓋骨X線写真がSNSで出回っている。催涙弾には毒性のある薬品が使用されているらしく、デモ隊には解毒処理を行うグループが活躍している。 衝突の現場で命を落とすだけでなく、誘拐、暗殺も横行する。デモ開始初期、女性の医療ボランティアが帰途何

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  • グローバル化の弊害を見落とし、トランプ台頭を招いた経済学者のいまさらの懺悔

    論敵をコテンパンにこき下ろすことで知られるノーベル賞学者のクルーグマン PHOTO ILLUSTRATION BY FOREIGN POLICY, SOURCE PHOTO BY PANAYIOTIS TZAMAROS-NURPHOTO/GETTY IMAGES <グローバル化の行き過ぎと米製造業の空洞化を見抜けず、結果的にトランプ政権誕生を助けたポール・クルーグマンがついに自己批判した> ノーベル賞の受賞者でコラムニストとしても知られる経済学者のポール・クルーグマンは、論敵をコテンパンにこき下ろす激辛の論調で名をはせてきた。 1990年代初めから精力的に著書や論説を発表。急速に進むグローバル化に疑義を唱える論客には片っ端から「経済音痴」のレッテルを貼ってきた。特に中国との競争を危惧する議論を聞くと、「バカらしい」のひとことで切って捨てる。心配ない、自由貿易が自国経済に及ぼす負の影響など取

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  • 香港区議選:中国共産党は親中派の勝利を確信していた(今はパニック)

    林鄭月娥行政長官(左)のボス、習近平も幻想を見せられていた(2017年7月1日) REUTERS/Bobby Yip <香港デモ隊は一握りの「暴徒」で、その他の「声なき多数派」は親中派を支持している――それは中国が仕組んだプロパガンダではなく「信仰」だった。人民日報や環球時報のジャーナリストたちに聞いてわかった中国指導部の驚くべき慢心ぶり> 香港で11月24日、区議会議員選挙の投開票が行われた。夜になって開票作業が進むなか、民主派陣営は熱狂に包まれていた。選挙妨害や不正の可能性を懸念しつつも勝利を見込んでいた民主派だったが、ここまでの圧勝は想定外だったためだ。 投票率は過去最高。夜半までには民主派が獲得議席数を前回選挙の3倍(452議席中389議席)に増やし、親中派(61議席)に対する逆転勝利を決定づけた。民主化デモに対する警察の強硬姿勢に市民の怒りが高まるなか、親中派の候補者たちが次々と

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  • 緒方貞子がルワンダ難民を大量強制送還したのは誤りだった

    コンゴ(当時のザイール)の難民キャンプから国連の助けで母国に帰還するルワンダ難民(1996年11月19日) REUTERS <10月末に亡くなった緒方貞子は、日人初、女性初、学者初の国連難民高等弁務官で、人道支援に尽力した。だが一方で彼女は失敗も犯し、「裏切り者」と呼ばれたことも直視しなければ、世界の難民を保護することはできない> 10月29日、元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんの訃報が伝えられた。直後には、各メディアからの「難民保護や支援に力を尽くした」「現場主義を全うした」「人道主義者」「苦境の人々の命をつないだ」などと高く評価する記事が飛び交った。 特に緒方さんのレガシーとして知られているのは、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)がそれまで関与しなかった国内避難民の保護と支援である。その決断のおかげで、イラクから国境を越境できなかった多くのクルド避難民などの命が助かったと言われる

    緒方貞子がルワンダ難民を大量強制送還したのは誤りだった
  • 『ジョーカー』怒りを正当化する時代に怒りを描く危うい映画

    ジョーカーを演じた主演のフェニックスは大幅に体重を落として役に臨んだ ©2019 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED TM & ©DC COMICS <バットマンの敵役ジョーカーの原点を描き、その疎外感に共感を寄せる『ジョーカー』。トランプ時代の空気を映し出している作品だが> 『ジョーカー』の舞台は1981年の腐臭漂うニューヨーク(※)ゴッサム・シティ。映画の冒頭近くで、主人公アーサー・フレックは道化師姿で看板持ちの仕事をしていたとき、中南米系とおぼしきギャングたちに嘲笑され、暴行を受ける。 ※映画の舞台を誤って「ニューヨーク」と記載していました。お詫びして訂正します。(2019年10月7日11時20分) 白人が不当に迫害されているという描かれ方は、近頃では珍しくない。これは、ドナルド・トランプ米大統領が巧みに利用してきたストーリーでもある。 『ジョ

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  • 戦後日本にCIAスパイを送り込んだ、日本人女性キヨ・ヤマダの数奇な運命

    <諜報活動という裏社会に身を投じて居場所を見出したキヨの葛藤は、現代女性にも通じるものがある> 筆者の知人が、アメリカ留学中だった10年ほど前に在米の日人主婦らが集まった小さなホームパーティーに参加し、そこで「興味深い女性」の話を聞いたという。 その人物の名前は「キヨ・ヤマダ」。戦後間もなく渡米してアメリカ人と結婚した彼女は、その後に世界最強の諜報機関であるCIA(米中央情報局)に入局。スパイに日語や日文化を教えていたが、少し前に他界してワシントンのアーリントン国立墓地に眠っているらしい――そんな話だった。 この話を聞いた筆者は、キヨのことがずっと気になっていた。そしてワシントンへの出張の折、アーリントン国立墓地に立ち寄ってみたところ、肩書きに「」とだけ書かれたキヨの墓を発見する。そこには彼女が国家のために働いたという形跡は一つもなかった。その後、いろいろな文書などにも当たって調べ

    戦後日本にCIAスパイを送り込んだ、日本人女性キヨ・ヤマダの数奇な運命
  • 研究者の死後、蔵書はどう処分されるのか

    <亡くなった研究者やビブリオマニアの蔵書はどこへ行くのか。必要としているところに受け継がれるシステムはできないものか。数カ月前、ある亡くなった研究者の蔵書処分を手伝うことになった> 「大きな研究成果を上げて将来を期待されながら、自ら命を絶った女性がいる。享年43歳。多くの大学に就職を断られ、追い詰められた末だった」 これは、今年4月10日に朝日新聞が報じた、ある女性研究者の自殺に関する記事冒頭である。記事によると、彼女は東北大学で日の仏教史研究で博士号を取得し、受賞経験もある、将来を嘱望された研究者だったという。彼女の自殺自体は2016年で、直近の話ではなかったものの、事件の痛ましさもあって、記事は、似たような境遇にある人、また似たような経験を経た研究者たちに大きなインパクトを与えた。 私も大学の教員やシンクタンクの研究員という研究の道を歩んできたので、事件は他人事ではない。彼女のように

    研究者の死後、蔵書はどう処分されるのか
  • 有名画家の伝説に疑問? ナチスへの傾倒が明るみに出て、メルケル首相もエミール・ノルデ作品を排除

    ノルデがナチスに傾倒していたと思われる時期のバイキングがモチーフのとした水彩画「女主人とよそ者」1938年 © Nolde Stiftung Seebüll, Foto: Dirk Dunkelberg, Berlin <ベルリンでドイツの画家、エミール・ノルデの大規模な展覧会が開催されている。ナチスに迫害されたと芸術家として知られてきたノルデだが、この展覧会では最近の研究からわかったナチスへの深い傾倒の事実に焦点を当てており、反響を呼んでいる> 4月12日から、ドイツ表現主義を代表する画家エミール・ノルデの展覧会が、ベルリンの現代美術館ハンブルガー・バーンホフで始まった。開幕の直前、アンゲラ・メルケル首相は、自分のオフィスに飾っていたエミール・ノルデの「くだけ波」「花の庭」の2作品を取り外したと、ドイツの国際公共放送ドイチェ・ヴェレや独ターゲスシュピーゲル紙など数々の媒体で大きく報道され

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