石川県輪島市門前町の総持寺祖院。重要文化財に指定される山門も地震の影響を受けた。境内の倒壊施設はブルーシートで覆われるなどした=2024年7月21日、竹中拓実撮影 奥能登・石川県輪島市門前町にある曹洞宗の寺院、大本山総持寺祖院(だいほんざんそうじじそいん)は地元の人たちに「ほんざんさん」と親しまれている。門前町に生まれ育った陶器店主、沢田由紀子さん(75)は子どものころ、よく境内で遊んだ。「いつも一緒の、『おらっちゃ(私たち)の寺』です」という▲鎌倉時代に禅師・瑩山(けいざん)が開いて大いに栄えたが、1898(明治31)年の火災で大部分が焼失し、「大本山総持寺」は横浜市に移転した。広大な跡地に別院として再建されたいきさつがある▲その総持寺祖院の建造物16棟が、国の重要文化財に指定される運びとなった。大祖堂や山門など火災以降に建てられた近代寺院建築と、焼失を免れた建物の双方が対象だ。景観の維