ロビン・ダンバー著『宗教の起源――私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』の書評を、『科学で宗教が解明できるか――進化生物学・認知科学に基づく宗教理論の誕生』などの著作を持つ藤井修平さんにお書きいただきました。専門家の目に本書はどう映るのか―― ■ ■ ■ 宗教の認知科学・進化心理学の新たな地平 本書は、安定的な集団サイズの上限である「ダンバー数」を提唱したことで著名な人類学者・進化心理学者のダンバーが、宗教の起源と発展という壮大なテーマに取り組んだものである。 近年、宗教について認知科学や進化生物学の観点から解明を試みた研究が多数登場しているが、本書はそうした中でも最新の知見を提供してくれている。 これまでの研究と比較してダンバーの視点が新しいのは、それが認知だけでなく感情の果たす役割を重視していることと、神経科学的な研究を踏まえ、宗教の重要な構成要素として「神秘志向」を提示していることで
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