通貨「円」の謎 (文春新書 923) 作者: 竹森俊平出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/05/20メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見る 日本の「失われた10年」とよばれた長い不況は、他国にはみられない特殊な経験であった。では、なぜそのようなことが生じたのか、通常は働くはずの景気の「自動安定化装置」は、なぜ日本の場合にだけ働かなかったのか。著者はその理由を「価格シグナルが誤ったメッセージを送り続けたこと」に求めている。 不況に陥ると、海外からの投資が逆転し、自国通貨安になるというのが通例である。このため輸出が増加し、需要の増加にともなって景気は好転する。このように、経済の「自動安定化装置」は、不況に陥った経済をもとに戻す働きをするのだが、近年の日本では、不況は逆に「超円高」をもたらすことが多く、その理由として常にあげられるのが、日本の投資家が海外の資産を国内に