しかし、国際政治の場において、外交戦、情報・世論戦、謀略戦、懐柔策などを複雑に絡めて展開される「統一戦線工作」は、奇々怪々として、国家に深刻な問題を投げかける。 というのも、中国が、習近平政権になって、海外における「統一戦線工作」を一段と強化しているからである。 先日、中国の「『統一戦線工作』が浮き彫りに」という米国からの記事(「古森義久のあめりかノート」、産経新聞、平成30年9月23日付)が掲載された。 詳細は、この後に譲るとして、米国では、統一戦線方式と呼ばれる中国の対米工作に関する調査報告書が発表されたことをきっかけに、習近平政権が「統一戦線工作」によって米国の対中態度を変えようとしていることが明らかになった。 そして、米国全体の対中姿勢が激変し、官と民、保守とリベラルを問わず、「中国との対決」が米国のコンセンサスになってきたというものである。 この件については、筆者拙論「台湾に迫る
今年に入ってから、日銀による大規模な金融緩和の「副作用」を強調する論調がメディアで増えている。 例えば10月2日に発足した第4次安倍改造内閣の経済政策について『朝日新聞』(10月3日、朝刊、「経済政策、見えぬ道筋 安倍改造内閣」)は、「『アベノミクス』路線は続くが、柱となる日本銀行の大規模な金融緩和に『副作用』が目立つ」と、金融緩和の副作用を第1の課題に挙げている。 小見出しに「金融緩和『正常化』出口探る」と立てて、朝日の記事は続くのだが、何が副作用なのかと読んでみると、「低金利による銀行の収益悪化といった副作用も指摘される中、今後はどうやって『正常化』へと導くかが最大の課題となる」とある。 この記事は、低金利で銀行が儲からないことが問題であり、この状況は異常なのだと印象付けたいらしい。金融緩和の「副作用論」は、銀行に近い利害を持つ人々から出ているようだ。 また、筆者が取材を受けた別のメデ
沖縄県知事選挙が終わり、玉城デニー氏が圧勝した。選挙への注目度は高かったように思うが、今後も普天間基地をめぐる問題は関心を集め続けるだろう。 それにしても問題をいたずらに矮小化する傾向があるように見える。沖縄が日本全体の中で特別に見えるとしても、それは誰のせいでもない。沖縄の運命のようなものだ。 国際政治学者であれば当然と思う認識が、目の前の政争の中で、見失われているかもしれない。右派と左派の感情的な対立を超えて見つめなおしたいのは、沖縄が持つ地政学的な運命である。 沖縄の特別な性格 沖縄県が日本の中で特別であることは、その歴史を見ればわかる。 第二次世界大戦では激しい陸上戦が行われ、20万人とも言われるおびただしい数の人命が沖縄で失われた。沖縄戦のあまりの激しさは、アメリカの戦略に影響を与え、結局は本土侵攻が回避された大きな要因となった。 1951年サンフランシスコ講和条約によって日本が
明日から京大に異動になります。阪大には6年間、助/准教授として働きましたが、本当に楽しい6年間でした。 最後に日本の社会学に対する危惧を一つ述べておきます。日本の社会学の特徴は、アカデミズムの軽視だと思います。すなわち、学会報告や学会誌を軽視しているということです。学会発表もせず、学会誌に論文を投稿もせず、それでも社会学者づらして本を出版したり、さまざまなメディアで発言することができるのが、日本社会学の実情です。このようなことが起きるのは、学会報告や学会誌が、新人の登竜門として位置づけられており、その評価が低いからだと思われます。エライ先生は本しか書きません。エライので査読を受ける必要もありません。こっそり紀要などに考えを公開することはありますが、人から評価されるのは恐ろしいので、学会誌には絶対投稿しません。出版社も本が売れさえすればいいので、研究の水準や主張の真偽は気にしません。エライ先
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