人類の祖先はヨーロッパで進化した 作者:デイヴィッド・R・ビガン発売日: 2017/09/08メディア: Kindle版 題名だけから見るとサピエンスアフリカ起源説への異説本のような印象だが,そうではない.本書は中新世の類人猿の専門家であるデイヴィッド・ビガンによる(チンパンジーとヒトとの共通祖先より前の段階についての)類人猿の進化仮説を扱った本になる.本書の中心となる主張は「中新世の1700万年前からヨーロッパで繁栄していた類人猿が寒冷化・乾燥化を受けて1000万年前頃にアフリカに移動したものがアフリカ類人猿(ゴリラ,チンパンジー,ボノボ,ヒト)の祖先であり,そこから人類も生まれた」というものであり,「アフリカ類人猿は中新世からずっとアフリカで進化したもので,ヨーロッパの中新世の類人猿はアフリカから移動し子孫を残さずに絶滅した側枝である」という通説と対立している.本書は丁寧に類人猿化石を