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2020年12月16日のブックマーク (7件)

  • 書評 「人類の祖先はヨーロッパで進化した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人類の祖先はヨーロッパで進化した 作者:デイヴィッド・R・ビガン発売日: 2017/09/08メディア: Kindle版 題名だけから見るとサピエンスアフリカ起源説への異説のような印象だが,そうではない.書は中新世の類人猿の専門家であるデイヴィッド・ビガンによる(チンパンジーとヒトとの共通祖先より前の段階についての)類人猿の進化仮説を扱ったになる.書の中心となる主張は「中新世の1700万年前からヨーロッパで繁栄していた類人猿が寒冷化・乾燥化を受けて1000万年前頃にアフリカに移動したものがアフリカ類人猿(ゴリラ,チンパンジー,ボノボ,ヒト)の祖先であり,そこから人類も生まれた」というものであり,「アフリカ類人猿は中新世からずっとアフリカで進化したもので,ヨーロッパの中新世の類人猿はアフリカから移動し子孫を残さずに絶滅した側枝である」という通説と対立している.書は丁寧に類人猿化石を

    書評 「人類の祖先はヨーロッパで進化した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    judgeer
    judgeer 2020/12/16
  • 書評 「無限の始まり」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    無限の始まり : ひとはなぜ限りない可能性をもつのか 作者:デイヴィッド・ドイッチュ発売日: 2013/10/29メディア: 単行 書は量子計算・量子コンピュータの概念を世界に提示したことで知られる物理学者デイヴィッド・ドイチュによるヒトの文化を含めた世界の成り立ちを語る独創的なだ.ピンカーが「21世紀の啓蒙」において引用していることもあって気になっており,しばらく電子化されるのを待っていたのだがどうもなりそうもなく,物理で手にした一冊になる.「無限の始まり」という題名は良い説明をキーとするヒトの科学的文化的活動は一度始まってしまえば無限に広がる可能性があることを示している.原題は「The Beginning of Infinity」. 第1章 説明のリーチ まず科学理論とはどういうものかが解説される.それは何かから導き出されるものではなく,観察から大胆に推量されるものだ.ではどの

    書評 「無限の始まり」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    judgeer
    judgeer 2020/12/16
  •  「文化進化論」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    文化進化論:ダーウィン進化論は文化を説明できるか 作者: アレックス・メスーディ,竹澤正哲,野中香方子出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2016/02/08メディア: 単行この商品を含むブログ (13件) を見る 書は英国の文化進化の研究者アレックス・メスーディによる文化進化リサーチについての一般向けの解説書である. 文化を進化的に理解しようという試みはかなり古くからある.有名なところではドーキンスが「利己的な遺伝子」(1976)の中で(あくまで進化という現象が,遺伝子が自己複製子である生物進化に限られない例として)取り上げたミームの議論があるし,EOウィルソンも「Genes, Mind and Culture: The coevolutionary process」(未邦訳:1981)において文化と遺伝子の共進化について考察している.しかしこれらの取り組みはその後あまり花

     「文化進化論」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 書評 「心の進化を解明する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    心の進化を解明する――バクテリアからバッハへ 作者: ダニエル・C・デネット出版社/メーカー: 青土社発売日: 2018/06/23メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る ダニエル・デネットは進化生物学,認知科学に関する科学哲学者であり,これまで「解明される意識」ではデカルトの心身二元論などの「意識をほかの生理的現象とは異なる特別なものとして説明しようとする立場」を徹底的に否定し,「ダーウィンの危険な思想」でダーウィニズムを鮮やかに解説し,自然淘汰が心や意識を作ったのだという主張を行っている.このような考え方は「自由は進化する」「スウィート・ドリームズ」「思考の技法」などの著作でも展開されている.書はこのような考察の集大成のような書物であり,いかに意識や理由を求める心がヒトに現れることになったのかについての考察が展開されているものだ.原題は「From Bacteria to

    書評 「心の進化を解明する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  •  「協力する種」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    協力する種:制度と心の共進化 (叢書《制度を考える》) 作者: サミュエル・ボウルズ,ハーバート・ギンタス,竹澤正哲,高橋伸幸,大槻久,稲葉美里,波多野礼佳出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2017/01/31メディア: 単行この商品を含むブログ (46件) を見る 書は経済学者のサミュエル・ボウルズと,同じく経済学者でゲーム理論家でもあるハーバート・ギンタスにより書かれた「ヒトの利他性の進化」についてのだ.基的にはヒトの利他性の進化は,血縁淘汰,直接互恵性,間接互恵性などのこれまでの進化生物学者の議論では説明できず,それはマルチレベル淘汰,遺伝子と文化の共進化でのみ説明できるのだと主張されている.原書は2011年の出版で,原題は「A Cooperative Species: Human Reciprocity and Its Evolution」.訳者は竹澤正哲,大槻

     「協力する種」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 書評 「自由の命運」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    自由の命運  国家、社会、そして狭い回廊 上 作者:ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン発売日: 2020/01/23メディア: Kindle版自由の命運  国家、社会、そして狭い回廊 下 作者:ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン発売日: 2020/01/23メディア: Kindle書は「国家はなぜ衰退するのか」で大国の興亡と制度の問題を論じたダロン・アセモグルとジェイムズ・ロビンソンによるそのテーマの考察をさらに深めたになる.アセモグルとロビンソンは前著において,持続的経済成長が可能かどうかは政治・経済制度が包括的か収奪的かで決まるとした.しかし包括的制度がどのようにもたらされるかについては,収奪的制度下では創造的破壊が抑えられる傾向があるので収奪→包括の移行は難しいこと,しかしそれは不可能ではなく歴史的に何度か生じており,移行には多元的権力の成立が重要であ

    書評 「自由の命運」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 〈脳と文明〉の暗号──言語と音楽、驚異の起源-ハヤカワ・オンライン