企業にとって意味があることは、資金を調達して利益を生み出すことであって、借金も株の発行も内部留保も資金を調達する手段の1つでしかない。それを一部だけ取り上げて無駄とかため込みすぎと批判されたところで、なんら意味がない。 内部留保に課税するとどうなるか? さて、希望の党が公約に掲げる内部留保への課税が実現したらどうなるか。できるかできないかでいえば、課税自体は可能だ。ただし、すでに説明したように給料を上げたり設備投資をしたりしても内部留保に影響はなく、結局企業がやることは課税を避けるために配当や自己株買いだろう。 これによって起きることは企業経営の不安定化だ。株主還元が増えることは決してマイナスではなく、それどころか経済全体でプラスの効果も見込めるかもしれないが、課税を避けるために配当を払うことは歪んだインセンティブを生む。 先に挙げた不動産業界のように、業績悪化のバッファー(緩衝剤)となる