北海道・知床沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」が沈没した事故から1年が過ぎた。 冷たい海に投げ出された乗客ら20人が死亡し、6人はいまも不明のままだ。家族の悲しみは癒えることなく、怒りは収まることがない。 事故発生から1年の23日には斜里町で被害者追悼式が行われたが、運航会社「知床遊覧船」の社長は出席しなかった。町は社長に追悼式の案内をせず、馬場隆町長は「式典を謝罪の場にしたくなかった」と説明し、家族に個別に謝罪するよう伝えたのだという。それすら果たされていないということだ。馬場町長は同日の町長選で落選した。 1年を経ても、こうした無責任体質が家族の怒りを倍加させている。その上、第1管区海上保安本部による業務上過失致死容疑の捜査は難航したままだ。 事故当日は強風注意報や波浪注意報が出ており、悪天候が予想される中で出航を判断した社長の瑕(か)疵(し)は免れないはずだが、天候と事故の因果