【ロンドン=板東和正】英保守党の次期党首となったスナク元財務相は、経済政策での失態により、わずか約1カ月半で退陣を余儀なくされるトラス首相の後を継ぐ。物価高騰を抑え、経済の立て直しに道筋をつけられるかが足元で最大の焦点だ。度重なる首相辞任や派閥争いに揺らぐ保守党内の結束を固め、党への信頼を取り戻すという難題も立ちはだかる。 9月6日に発足したトラス政権は、物価高騰のあおりで減速する景気を立て直そうと、5年間で総額約450億ポンド(約7兆5千億円)規模の減税を目玉政策とした。だが、財源が曖昧だったために「バラマキ」との批判を浴び、通貨ポンドが過去最安値をつけるなど市場から見放された。 スナク氏にとっては、市場の安定化とインフレの抑制が当面の「最重要課題」(保守党員)になる。 スナク氏は物価対策を優先し、インフレの沈静化後に徐々に減税する考えを示してきた。前回の党首選では財政再建を重視する立場