「あいつが試合に負けたA級戦犯だ」「経営悪化のA級戦犯はあの取締役だ」と、日常的に使われるA級戦犯という言葉。じつはその意味を正しく理解している人は少ない。 先の大戦後の軍事裁判では、A級戦犯のほかにB級戦犯とC級戦犯があった。A級戦犯が最悪でB級・C級はそれほどでもない印象があるが、それは間違い。罪の軽重や上下関係は表していない――現代では完璧に罪の軽重を表していることになっているが……。 〈「A級」は「侵略戦争を計画し、準備し、開始し、遂行し、或いは共同謀議をした者」を指す。特定の地域に限定せず、「平和に対する罪」を犯したと認定された者ということになる。 「B級」は「特定の地域(主にアジア)で、戦争法規や慣例に違反した殺人、捕虜虐待、略奪などを行った者、主として指令者」を指す。 「C級」は「特定の地域(主にアジア)で、捕虜に人道に反した殺人、虐待をした者や現地住民に対して虐待をした者、