松本清張の膨大な著作のなかに、自らの兵役体験をもとにした小説「遠い接近」がある。30歳を過ぎて召集された主人公が軍隊で辛酸をなめ、戦後、自分を苦しめた者たちに復讐(ふくしゅう)する物語だ。強い印象を残すのは、内務班で夜ごと新兵が受ける私的制裁の凄絶さである。旧日本軍で横行した行為を告発してあまりある描写といっていい。たとえば消灯ラッパが鳴ったあと、分厚い革張りの上靴(じょうか)を手にした古兵
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