梅田望夫氏の『ウェブ進化論』がベストセラーとなり、「web2.0」なる言葉が華々しく乱舞した2006年とは対照的に、2007年はウェブ社会の負の側面に注目が集まった1年だった。なかでも「学校裏サイト」は、具体的ないじめ事件とも重なって、マスコミがこぞって取り上げたことは記憶に新しい。 しかし、その語り口は、あたかも示し合わせたかのような画一ぶりを呈していた。要するに、ケータイやインターネットのせいで、子供がおかしなことになっている、という論調だ。例として、本書に紹介されている新聞記事を一つ挙げてみよう。 〈「顔」の見えないネット社会は暴走が止まらない。文科省の調査で「学校裏サイト」は三万八〇〇〇件もあり、抽出した半数に他人を中傷する表現があった。現代の子どもたちの荒廃した「裏の顔」が透けて見える〉(毎日新聞二〇〇八年四月十六日夕刊) こんな記事を読んだら、「ウチの息子/娘は大丈夫かしら」と