これまでの20年間で、日中の外交力は完全に逆転したように思われる。国際競争の中で互いに切磋琢磨していれば、力関係が変化するのは当然のことだろう。重要なのは、その外交力がどのように変化し、経済力とは別になぜ逆転したのかを解明することである。 前回の寄稿では、中国経済の原動力はヒトとモノのアロケーションの合理化にあると指摘した。 それに対して、日本はヒトのアロケーションが合理化していない。要するに、国の「頭脳」に問題が起きている。端的に言えば、中国に比べて日本の外交力が弱体化した背景には、日本のシンクタンク力の弱さがある。 シンクタンクの役割とは そもそも、「シンクタンク(think-tank)」とは、その名の通り知恵袋でなければならない。しかし、日本のシンクタンクの多くは知恵袋とはいえず、「刺身のつま」程度の存在になっている。国や企業にとってシンクタンクが羅針盤の役割を果たしていくべきである