急速なITの社会実装が進む中国。個人信用情報プラットフォームである「芝麻信用」を歓迎し、党や地方政府によって行われているネット検閲や、街のいたる所に設置されている監視カメラに対してもそれほどの忌避感を持たない中国人を、私たちはどこか釈然としない気持ちで見ている。それはジョージ・オーウェルが「一九八四年」で描いた「ビッグブラザー」の支配するディストピアではないのか、と。しかし、実際の中国で起きていることを見てみると、そこには「無秩序で混乱した社会」から「行儀がよくて予測可能な社会」への転換を歓迎している市民がいる。そして、現在の中国を知るほどに感じるのが、いわゆる「西側資本主義国」のほうが、この「監視社会」の到来がさらに悪い形、つまり市民の目に見えない形で近づいて来ているのではないかという危惧である。 中国の「監視社会」の実像 日本のメディアで中国の監視社会の記事を目にすることが増えた。きっ
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