ここ2~3年でにわかに話題になっている人工知能(AI)。最近では、NHKスペシャルの「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」(2017年7月22日放送)にて、NHKが開発したAIの分析結果から「健康になりたければ病院を減らせ」「少子化を食い止めるためには結婚よりもクルマを買え」などの斬新な提言がなされ、議論を呼んでいる。 確かに、意外性があるため、おもしろいと感じた人もいるかもしれない。しかし、番組中でAIが提言した内容は、残念ながら間違っていると言わざるをえない。 なぜなら、AIは物事を予測したり、将棋や囲碁のように決められたルールのなかのゲームをすることは得意であるものの、2つの事柄のあいだに「因果関係」があるかどうかを明らかにすることは苦手だからだ(因果関係にあるかどうか統計学を用いて検証する方法を「因果推論」を呼ぶ)。将棋や囲碁の名人を打ち負かしたことが話題になっているため、
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、日本銀行、世界銀行、東北大学を経て現職。コロンビア大学公共政策大学院にてMPA(公共政策学修士号)、コロンビア大学で教育経済学のPh.D.取得。専門は教育経済学。著書にビジネス書大賞2016準大賞を受賞し、発行部数30万部を突破した『「学力」の経済学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 「原因と結果」の経済学 「テレビを見せると子どもの学力が下がる」と言われて、違和感を覚える人はほとんどいないでしょう。しかし、「テレビの視聴」と「学力」のあいだに「因果関係」があるかどうかは、慎重に考えなくてはなりません。実は、テレビを見ている時間が長くなると、学力は低くなるのではなく、逆に高くなることが示唆されています。2つのことがらの関係を確かめるこの「因果推論」の考えかたを、やさしく解説します。 バックナンバー一覧 2021年のノーベル経済学賞は、デビッド・カード、
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生活の時間帯を分けるなどの方法で人と人との接点を減らすことで、経済を回しながら新型コロナを収束できる可能性がある カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の同僚である西 晃弘先生と一緒に行った研究によると、生活する時間帯を分けるなどの方法で人と人の接点を減らすことで、ロックダウンなど経済に悪影響をおよぼす政策を取らなくても、新型コロナウイルス感染症を収束させることができる可能性があることが明らかになりました。研究結果は、2020年11月11日、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS=米国科学アカデミー紀要) に掲載されました。 論文のポイント ソーシャルネットワーク(人と人が感染リスクのある状態でつながっている社会)を無作為に2つに分け(例えば世帯主のマイ
一年でいちばん太る時期日本人が一年でいちばん太る時期はいつかご存じだろうか? 2012~2013年に世界各国で使用されている体重計から無線で情報を収集することでこの問いに答えた研究がある(*1)。 その結果によると、日本人が一年のうちに最も太るのがゴールデンウィークであった。その次に太っていたのは、正月、3月末の春休みごろ、8月中旬の夏休ごろ。つまり日本人は仕事が休みの時期になると太る傾向がある可能性があるのだ(もちろん他の理由でこの時期に体重が増加している可能性もあるが…)。 日本人、アメリカ人、ドイツ人の一年間の体重変化 出典:Helandar et al.(2016)を元に筆者作成 そう、お正月はついつい食べ過ぎてしまい、ゴールデンウィークの次くらいに太ってしまう時期なのである。皆様の中にも、楽しいお正月を過ごしたものの、お腹まわりが気になってきた人がいるかもしれない。 近年、どうし
女性医師に診てもらった患者の方が、男性医師に診てもらった患者より死亡率が低い――。 2016年、こんな驚きの論文を発表し世界中から注目を集めた、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)助教授で医師の津川友介氏。 津川氏の専攻は「医療政策学」だ。 世界中で発表される膨大な数の医学論文から根拠となっているものを分析し、そこから得られた知見を「医療費の自己負担額は何割が適切なのか」といった実際の政策に結び付けることを研究している。いわば、医療に関するデータ分析のプロだ。 そんな、「ある研究が信頼できるかどうか判断し応用する専門家」の津川氏が、世界中の研究を集めて健康的な食事について一冊にまとめたのが『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』だ。 ──この本を書こうと思ったきっかけは? 日本の書店に行くと、健康的な食事に関する本がズラッと平置きされていますよね。しかし研究者の目から見れば
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