米国といえば、自由競争主義。典型的な格差社会だが、それだけに持たざる者には多少なりともその足元を支えるようなセーフティーネットが存在する。その役割を果たす一つが、宗教だろう。米国民の約6割は、地元の教会や宗教的拠点に所属。ホームレスの人々に食料を提供したり、移民に英語を教えたりする支援の場となっている。 もう一つ、セーフティーネットの役割を担うのが非営利組織(NPO)。例えば米有力人権団体の「全米市民的自由連合(ACLU)」には多数の弁護士が名を連ね、自力では裁判を起こせない人々の国賠訴訟などを引き受けている。資金源の大半は寄付金。米国では寄付金の税控除制度により、NPOに寄付しても、普通に納税しても、手元に残るお金はあまり変わらないことが多い。だから自分の共感するNPOに寄付する人が少なくないのだ。 ACLUが入居するニューヨーク中心部の超高層ビルを訪ねたことがある。まるで大企業のオフィ