福岡市内の民家で現金を盗んだとして窃盗罪などに問われた男(63)の初公判が23日、福岡地裁(高原正良裁判官)であった。これまで19回刑務所に入った男は耳が聞こえず話すこともできない。さらに知的障害もある被告が罪を重ねてしまうのは、わが国の矯正制度が障害を抱える被告に十分機能していないことをうかがわせる。弁護側は「被告の更生を考えるなら、必要なのは刑務所への収監ではない」と執行猶予付き判決を求めた。 男は昨年9月、福岡市内のアパートの1室に侵入し現金約3万円を盗んだなどとして起訴された。 検察、弁護双方の話を総合すると、男は窃盗などを繰り返したため72年以降、19回収監された。服役期間は22年以上に及び、成人になってからその半分以上を刑務所で過ごしたことになる。 男は月数万円の年金を受給しているが、管理は障害をもつ家族がしている。意思疎通の問題などから受け渡しがうまくいかずに、手持ちの