国会で消費税増税が議論されている。野田佳彦首相は、消費増税に「政治生命をかける」としている。その割に、消費税に関する議論は建設的ではないように感じてしまう。増税は不可避のもとで、消費税なのか所得税なのか、という議論があれば、もう少し変わるのではないだろうか。消費税を否定する際の最大の根拠は、所得税は累進的だが、消費税は逆進的だというものだ。このことをもう少し考えてみよう。 所得税は累進的だが、消費税は逆進的? 正確には、所得税は累進的にできるが、消費税は逆進的にしか課税できない、というべきであろう。所得に課税する場合であっても、比例的あるいは逆進的に課税されている場合もある。例えば、社会保険料はその例である。基本的に定率で課されている上、社会保険料には負担の上限もある。そのため、所得に対する社会保険料の支払額は逆進的になる。しかし、所得税は、通常、課税最低限がある上、限界税率が所得とともに