安倍晋三首相は9月29日の所信表明演説で,「イノベーションの力とオープンな姿勢により,日本経済に新たな活力を取り入れ」ていく,と述べた。この演説内容を読んで筆者が最初に思い浮かべたのは,ジャガイモである。ここ1年くらいの間に聞いた話の中で,もっとも面白かったのが,ある会社が計画している「ITによるジャガイモのイノベーション」であったからだ。 その会社の構想はこうである。美味しいジャガイモを育てる。その時にITを利用する。収穫したジャガイモを必要な時,必要なだけ工場へ届ける。その時にITを利用する。ジャガイモを使った新しい菓子を創造し,マーケティングし,販売する。その時にITを利用する。一連の活動に数値目標を設定,常に改善していく。その時にITを利用する。 この構想は,経済学者のシュンペーターが『経済発展の理論』の中で述べたイノベーションの定義に合致する。シュンペーターは,イノベーションを「
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