今回の連載で何度か触れているように、米国内にいる不法移民の数は2007年をピークに減少傾向にある。とりわけ不法移民に占めるメキシコ人の数は減っており、本国に帰る不法移民が増えている様子が見て取れる。 その理由として、金融危機による雇用減は確かにあったが、リスクを冒して国境を渡る必要がなくなっているという面も大きい。米国に密入国するまでもなく、メキシコ国内で割のいい雇用が得られるようになっているのだ。 実際に、ティフアナでは「シェルター」と呼ばれる企業が急速に拡大している。 シェルターとは、メキシコでの生産を希望する企業に、工場スペースの提供や労働者の調達、納税や会計、サプライヤーへの支払い手続き、通関業務やトラックの手配、その他のコンプライアンス対応などをまとめて面倒見る企業のことだ。 メキシコにはIMMEXという保税加工制度があり、その認可を得られれば、原材料や部品の輸入にかかる関税やV
![アメリカの雇用を奪う男たち](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6de272be005e3bf487d3e927e0b1e9600b86084f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkei.com%2Fatcl%2Freport%2F16%2F100500246%2F100500004%2Ffb.jpg)