石油化学品生産の指標となる基礎化学品「エチレン」の国内生産設備稼働率が低迷している。8―10月は2013年11月以来の3カ月連続の90%割れとなった。中国経済の停滞をはじめ複数のマイナス要因が重なったためで、世界経済の回復に伴い回復するとの見方が大半ながら、国内体制の課題もある。中長期での再編の必要性を指摘する声は強い。(梶原洵子) 石油化学工業協会(石化協)によると、10月の国内エチレン製造プラントの平均稼働率は84・8%(前年同月比8・9ポイント減)。7月の90%を挟み、5―6月も2カ月連続で90%を下回っており、低調な状態が続く。「夏以降にマイナス要因が重なり、エチレン生産が制約を受けた」(岩田圭一石化協会長〈住友化学社長〉)。 具体的には、世界経済の減速と、中国のゼロコロナ政策に伴う経済停滞、内需低迷のマイナス要因が重なり、景気が悪化して石化需要が減退した。日本で生産された化学品は