消化仕入れにおける百貨店側の取り分(歩率賃料)は駅ビルやショッピングセンターに比べると倍近くも高いと言われるが、ブランドによって極端に条件が異なり、秘密のベールに包まれて来た。 それが新会計基準の適用にともなう新旧会計表示比較で予期せず表面化したのだから、業界関係者ならずとも興味津々だろう。百貨店の歩率をショッピングセンターの家賃やECモールの手数料と比較して解き明かしてくれるのが、業界の裏事情に精通した流通ストラテジストの小島健輔氏だ。以下、同氏による説明に耳を傾けてみよう。 「新旧会計基準」の狭間でわかったこと 大手アパレルの22年2月期決算開示情報を精査していたら、面白いことに気がついた。 21年4月以降に始まる決算期では小売売上をベースとした新会計基準が義務化されたが、すでに小売売上基準となっていたワールド(3月決算なのでまだ未開示)はともかく、これまで百貨店での売上を卸し売上で計
セブン&アイ・ホールディングスは百貨店事業であるそごう・西武の売却を進めている。 物言う株主として知られる、米国の投資ファンド「バリューアクト・キャピタル」による経営改善要求の一部をのんだ模様で、不採算部門を切り離して利益率向上を狙う。 バリューアクトはセブン&アイの約4.4%の株式を所有する大株主の1つだ。セブン&アイが戦略的な経営資源の集中を怠り、適正な株価より大幅に低くなっていると、度々提言してきた。真剣に検討していないのではないかと、1月25日付に書面で送った。 百貨店は、バブル崩壊後の衰退が著しい。統廃合が進んでいるが、そごうと西武が合併して、セブン&アイの傘下にあることを知らなかった人も多いのではないだろうか。 バリューアクトは、セブン&アイが行う事業のうちで、重点成長分野であるコンビニ、つまりセブン-イレブンのみに集中すべきと提言している。他の分野は売却、またはコンビニのみス
コロナ禍により地方百貨店のテナント撤退が深刻化するなか、これまでのような「大手アパレル中心」ではなく、地元資本の力を借りて店舗の活性化を図る動きが起きている。なかには個性的な地場店舗の導入をおこなうことで、これまでとは一味違った店づくりを目指す地方百貨店も生まれつつある。
1956年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、野村證券に入社。同社退社後、3年間の出版社勤務を経てフリーランスジャーナリストに。金融、経済誌に多く寄稿し、気鋭のジャーナリストとして期待される。BS日テレ『財部ビジネス研究所』、テレビ朝日『報道ステーション』等、TVやラジオでも活躍中。また、経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」を主宰し、「財政均衡法」など各種の政策提言を行っている。 財部誠一の現代日本私観 経済ジャーナリスト・財部誠一が混迷を極める日本経済の現状を鋭く斬るコラム。数々の取材から見えた世界情勢を鋭く分析するとともに、現代日本にふさわしい企業、そして国のあり方を提言していく。 バックナンバー一覧 阪急阪神ホテルズに始まったメニューの偽装・誤表記が、その後、日本全国の有名ホテルに続々と広がっていった。正直驚いた。企業社会では過剰とも思えるほどの人的、事務的コストをコンプラ
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