「民主党の大統領候補にはぜひともヒラリー・クリントンが指名されてほしいですね。一番、指名されてほしくないのはビル・リチャードソンですよ」 おやっと思った。 共和党を長年、支持する米国人の知人がまじめな表情で述べたからだった。彼は共和党政権の高官だったこともあり、民主党リベラルのヒラリー・クリントン上院議員に対しては政策面では正面から猛反対する立場にある。 だがそのヒラリー女史に、ぜひとも民主党の最終候補になってほしいというのである。 6月中旬、ワシントン市内での数人の夕食会での会話だった。 米国では大統領選挙のキャンペーンが早くも熱気を高めてきた。2008年11月の投票日までにはまだ1年4カ月もあるのだが、今回はその前哨戦が従来よりずっと早く激しい攻防を見せ始めた。だから首都ワシントンでも何人か人が集まれば、必ずといってよいほど大統領選挙がなんらかの形で話題となる。