原油市場で弱気ムードが強まっている。12月12日には一時、6月以来の安値を付けた。OPECプラスが打ち出した自主減産の実効性に疑問符が付いているほか、米中の需要低迷が重荷だ。 だが、原油市場最大のリスクはサウジアラビアにある。価格低迷で財政難に陥り、自主減産を放棄して増産に転じるとの見立てが急浮上。一方、親イラン武装組織フーシ派が原油施設を攻撃する懸念も拭えない。 暴落か、急騰か、真逆の方向にある2つのリスクをどう読み解くか。原油市場の先行きが混沌(こんとん)としている。(JBpress) (藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー) 原油市場は12月に入り、弱気ムードが支配的になっている。 米WTI原油先物価格は12日、前日比3.8%安の1バレル=68.61ドルで取引を終えた。一時、68.22ドルと6月下旬以来の安値を付けた。 原油価格は前月末から12日時点までに10%近く下落