佐渡島の金山の世界遺産推薦決定を祝う横断幕=新潟市中央区で2022年2月1日午後2時29分、露木陽介撮影 政府が1日にユネスコ(国連教育科学文化機関)に推薦した「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録を巡り、保守派や一部メディアで「歴史戦」という言葉が叫ばれている。強制労働があったとして韓国側が反発しているためだ。日韓はこれまでも歴史認識で対立を繰り返してきたが、果たして世界遺産を「歴史戦」の戦場にしてよいのだろうか。【佐野格、山下智恵/デジタル報道センター】 江戸期の金山に「強制労働」と反発 まずは経緯を振り返りたい。 佐渡金山は、戦国時代末から平成(1989年)まで操業した国内最大級の金銀山だ。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。とくに、金の採取から精錬まで手作業で行っていた江戸時代の遺構は世界的にも珍しく、世界遺産に求められる「普遍的価値」が高いとされる。2