「♪ぼうやー、良い子だネンネしなー……♪」 むかーしむかし、あるところに、それはそれはお酒の好きな人たちが住む村がありました。 その村の真ん中には一軒の居酒屋。村人は一日働いたあと、毎日のようにその居酒屋に集まり、飲み、語るのでした。 また居酒屋の店主はとても気前のいい人。村人がどんなに飲んでもツケ。「あとでいいよ」が口癖のおっとりとした人。村人も安心して飲んでいました。 ある日、いつものように飲んでいると、年輩の村人が居酒屋の店主に言いました。 「おーい、オヤジー、お金払うよ。今日は払っていくよ」 「なんだなんだ急に。どうしたんだい?」 「いや、もう来れなくなるんだ。60になるだろ。隠居するんだよ、隠居」 「そうかそうか。そりゃ今までご苦労さん。じゃ会計だが……よし、1万円でいいよ」 「え?そんなに安くていいのか?」 「いいよいいよ。足りなければ他のヤツらからとるさ」 「ありがとな、ここ